2010 Fiscal Year Annual Research Report
風力発電システムから発生する騒音の伝搬性状に及ぼす気象の影響
Project/Area Number |
22560591
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
岡田 恭明 名城大学, 理工学部, 准教授 (20367741)
|
Keywords | 環境影響評価 / 騒音伝搬 / 気象 / 風力発電 / パワーレベル / 音響放射特性 |
Research Abstract |
現在,国内各地で風力発電の建設が推進されており,その基数は今後も増加すると考えられる。このような省エネルギー事業は,地球温暖化防止の面からは一定の評価が得られているものの,その反面,風車発電システムから発生する騒音によって地域住民が悩まされているとの報告例も少なくない。風力発電の開発事業に際しては,事前に予測および評価が行われるようになりつつあり,それに関する基本マニュアルがNEDOから発行されている。事業者はそれに基づいて騒音の伝搬計算を行い,周辺環境に及ぼす影響を評価している。しかしながら,その予測方法は,発生源である風車を無指向性点音源とみなし,受音点までの幾何学的拡散による距離減衰と空気の音響吸収による音の減衰のみであり,風による発生源および伝搬過程での騒音レベルの増減が考慮されていないのが現状である。したがって,現在の予測方法は十分であるとは言い難い。 そこで本研究課題では,国内の某所にある風力発電施設にて,11月から3月にかけて計10日間程度の騒音と気象の測定を行った。その主な目的は,(1)風車から発生する騒音の水平・鉛直方向の放射特性と(2)気象による音響伝搬特性を把握することであり,風車を中心に50~200mの範囲内に8~12点配置した受音点でデジタル録音すると共に,風車以外の騒音を聞き分けながら,1/3オクターブバンド音圧レベルの周波数分析を200msec間隔で行っている。現在,その分析を実施している段階ではあるが,入手した風車の諸データ(風向・風速,発電量)と騒音レベルの対応を検討している。今年度に得られた分析データは,本研究課題の大きな目的である予測計算を構築する上で,基本となる部分であり,その重要性は非常に大きいと考えている。
|