2012 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ結晶材料での原子空孔組成成分化による結晶子+結晶粒界二相共存状態
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22560656
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷本 久典 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70222122)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 金属物性 / 超微細多結晶組織 / 結晶粒界 / 原子空孔 / 格子定数 / 力学特性 |
Research Abstract |
平均径が数10nmの結晶子が集積した超微細多結晶組織の金ナノ結晶(以下n-Au)では、印加応力が約200MPa以上で塑性変形速度が数桁も増大する、塑性変形後でも結晶子サイズや機械的性質に変化は見られない、塑性変形中のその場STM表面観察で結晶子が独立的に表面より隆起沈降する、などの特異な現象が見られる。これらを説明するモデルとして、結晶子が結晶粒界“相”に囲まれた結晶子相+結晶粒界相の二相共存状態が準安定化されており、状況で粒界相が擬弾性的から粘弾性的な状態に変化する、さらにはこの特異な状態には空孔型欠陥が関与している可能性をこれまで指摘してきた。 そこで、二相共存状態モデルを検証しその原因機構を明らかにするべく、空孔型濃度と力学特性などの関係を調べた。作製直後のn-AuのX線回折測定から、通常の金多結晶材に比べて結晶子格子が約0.05%収縮しており、結晶子サイズの減少とともに小さくなる傾向が見られた。また、内部摩擦測定では、n-Auに特有の粒界擬弾性に起因する200K以上で観測される成分は約350Kでの粒成長開始後に大きく減少するが、600Kまでの昇温後では通常の多結晶材料で報告されている結晶粒界に対応する緩和ピークが約450K付近に観測されるようになった。この結果は、n-Auの粒界状態は粒成長により通常の多結晶材料のものに変化する、すなわちn-Auの粒界は通常の多結晶材料と異なった状態にあることを示しており、二相共存状態モデルを支持する。 一方で、震災の影響で試料作製が滞ったため、計画に遅れが生じている。より研究を発展させる形でH25年度から科研費基盤(C)の援助を受けることが決まり、低温X線回折測定や低温陽電子消滅法による結晶子状態評価を進め、二相共存状態や結晶子格子収縮の検証及びその原因機構解明を推し進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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