2011 Fiscal Year Annual Research Report
精密構造制御されたAu-酸化物ハイブリッドナノ粒子の生成と触媒作用の研究
Project/Area Number |
22560664
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
古賀 健司 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (30356969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 宏昭 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 主任研究員 (40357116)
越崎 直人 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究グループ長 (40344197)
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Keywords | 金ナノ粒子 / 複合ナノ粒子 / ヘテロ接合 / 触媒 / 構造制御 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
Auナノ粒子担持酸化物のCO酸化の触媒機構については、「Auナノ粒子の粒子径が1~2nm程度に小さいと活性が高い」、「Au/酸化物の接合界面でのペリメータの長さに活性は比例する」などの結果が従来より出されている。しかしながら、一般的な試料では、Au/酸化物結晶のヘテロ接合は不均一なために、確定的な結論を得ることは困難である。我々は、Auと酸化物が結晶学的に均一に接合された複合ナノ粒子を作成し用いることによって、接合構造と触媒活性との相関情報を得ることを目的としている。当該年度では、AuとCu_2Oの体積比を変化させ、ヘテロ接合構造を変化させた2種のAu-Cu_2O複合ナノ粒子を作成した。1つはCu_2Oに対して相対的にAuが小さい「目玉型」粒子(金属元素中のAuの割合が4at.%)であり、もう1つはAuが相対的に大きい「ドングリ型」粒子(Auの割合が32at.%)である。飯塚泰雄氏(産総研,連携研究者)の協力により、閉鎖循環反応装置を用いてCO酸化触媒活性を測定した結果、「ドングリ型」粒子の試料の方が相対的に高い反応速度を示した。一方、CO_3反応中間体の活性点への蓄積速度は「ドングリ型」粒子の方が相対的に速く、触媒活性の高さに強く相関していた。興味深いことに、「ドングリ型」粒子試料中のAuの平均粒子径は4nmと、「目玉型」粒子の2nmよりも大きかった。注目すべきは、Au/Cu_2Oの接合界面は両者で結晶学的に異なっていることである。以上の結果は、接合構造を含めた粒子構造形態と触媒活性との強い相関を示す結果と見ることができるが、Au部分に微量にCuが残留している割合が両試料で異なることがわかった。近年、Au表面に微量のAgやCuが存在することによってCO酸化触媒活性が発現することが報告されているため、今回の実験結果が純粋に「形態効果」に因るものなのか、現時点では断定できない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、Au-Cu_2O複合ナノ粒子の触媒活性測定では、研究分担者の所有する大気圧下で行う流通系反応装置を使用していた。しかしながら、触媒量が少ないために数百℃の高温まで試料を加熱する必要があったが、ナノ粒子の融合の問題やCu_2Oの酸化の問題が生じた。そのために、新たに連携研究者として産総研の飯塚泰雄氏に協力を依頼し、氏の所有する閉鎖循環反応装置を使うことで、上記の問題を解決する目処が立ったが、装置の使用スケジュール等で実験はやや遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、Auナノ粒子と酸化物との接合構造およびAu-酸化物複合ナノ粒子構造形態とCO酸化触媒活性との相関情報を得ることであるが、複合ナノ粒子の構造形態を変化させると、他のファクターが一緒に変化してしまうことが研究を複雑かつ困難にしている。特に、Au部分に残留するCuの割合や、熱的安定性(触媒活性測定時における粒子融合などの問題)を一定にできないことが上げられる。そのために、目的とする結論を得るためには、様々なファクターを個別に慎重に検証する必要がある。
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Research Products
(3 results)