2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560713
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
羽深 等 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (40323927)
|
Keywords | 炭化珪素 / 表面活性化 / 低温薄膜形成 |
Research Abstract |
本研究の目的は、シリコンウエハ表面に活性な表面を形成するためシリコン多結晶CVD薄膜を成膜し、その条件を最適化すると共に、モノメチルシランを用いて炭化珪素膜を形成することである、平成22年度に購入して立ち上げ・調整していたソフトプラズマエッチング装置を使用し、アルゴンプラズマをシリコン基板に照射して有機物汚染と自然酸化膜を除去した後、CVD反応容器に素早く搬送し、CVDとしては、計画に従って室温においてモノメチルシランガスを用い、炭化珪素薄膜を形成した。その後、800℃において塩化水素ガスに暴露した。試料の表面を光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡により観察し、塩化水素ガスにより損傷を受けたシリコン表面の様子と比較したところ、本研究により得られた表面が、高温の塩化水素ガスにより全く損傷を受けないことが確認された。以上から、耐腐食性を有する炭化珪素薄膜が形成されたことを確認した。形成された薄膜が目的とする炭化珪素であることを確認するため、薄膜内に炭素-珪素の化学結合の存在を検出することを試みた。塩化水素に暴露した後の試料の表面を飛行時間型二次イオン質量分析法により分析した結果、Si-C結合が存在することが確認され、その様子は参照試料としてシリコン結晶とは明らかに異なっていた。以上より、目的とした方法により耐腐食性を有する炭化珪素薄膜を室温において形成することに成功したことが結論された。上記の他に形成された薄膜の結晶性を確認するため、断面透過型電子顕微鏡により原子配列の観察を行ったところ、得られた炭化珪素薄膜は非晶質であることが示された。 薄膜が安定して得られるための要点を探るため、プラズマ処理時間、モノメチルシランガス濃度、成膜時間などを調整した。その結果、モノメチルシランを用いる条件による影響は小さく、プラズマ処理による表面清浄化の影響が大きいことが把握された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はArプラズマを用いて表面活性化を行い、そこにモノメチルシランガスにより室温で炭化珪素薄膜を形成する条件を把握することを計画としていた。その計画通りに実験を実施し、計画通りの結果を得たため、順調に進展しているものと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、当初の計画に従って研究を進める。即ち、シリコン以外の固体表面に低温で炭化珪素薄膜を形成する条件を探索する。表面活性化の手段としては、Arプラズマ、低温シリコン薄膜形成、の両方を計画している。
|
Research Products
(5 results)