Research Abstract |
本研究の目的は化学薬液の替りに,NaClやNa_2SO_4電解酸化水を用いた無酸素銅材や純ニッケル材などの金属材料の表面酸化皮膜処理に関するものである.本年度は,電解酸化水の生成条件,すなわち電極の材質,表面状況,電解電流値および電圧,さらに電解質塩の種類と電解酸化水の特性との関係を明らかにするために,具体的に次の検討を行った. 1.実験装置の作製 電極の表面積(メッシュの大きさ)が異なるPt,およびPt-60%Irの電極を各3種類製作した.また,その電極を使用した電解槽を製作し,電解水生成システムを作製した. 2.電解酸化水の特性値の評価 Pt電極を有する電解水生成装置について,電解条件と電解酸化水の特性との関係,および電解酸化水が無酸素銅材表面,純ニッケル表面に対するエッチング作用を明らかにし,次のようになっている. (1)NaCl,Na_2SO_4電解酸化水は,同pH値を有するHCl,H_2SO_4溶液と比べ,無酸素銅材に対するエッチング速度は2倍から4倍が高くなっており,純ニッケル材に対するエッチング速度は3倍から6倍程度が高くなっている. (2)NaCl電解酸化水はHCl,H_2SO_4溶液と比べ,鏡面に研磨した無酸素銅材および純ニッケル材の表面に対する粗化作用が強く,Na_2SO_4電解酸化水の粗化作用は薬液とほぼ同様になっている. (3)HCl,H_2SO_4溶液と比べ,NaCl,Na_2SO_4電解酸化水は,鉄とニッケルの合金層において,Fe元素に対する選択的なエッチング傾向が小さい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pt-Ir合金の電極の作製に時間がかかり,電解酸化水の特性評価および,電解酸化水を用いた金属のエッチング実験について,開始は少し遅れたが,現在はほぼ計画したとおりになっている.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画のとおりに,電解水生成装置およびPt-Irの電極の作製も完成しているため,電解酸化水の特性評価および無酸素銅材,純ニッケル材に対するエッチング実験,酸化皮膜除去実験を行う予定である. また,研究成果の発表,講演会などをとおして,社会に還元し,学生の教育に活用する予定である.
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