2011 Fiscal Year Annual Research Report
触媒相状態検知素子をもつ三相分離型フローリアクターシステムの設計
Project/Area Number |
22560756
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 秀行 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90313345)
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Keywords | 化学工学 / モニタリング / 触媒・化学プロセス / 相間移動触媒 / 交流電界操作 / マイクロ流体 |
Research Abstract |
本研究課題は、相間移動触媒としてポリエチレングリコール(PEG)を用いた液-液-液三相分離型反応プロセスについて、運転操作中の液体触媒相の状態変化を推定しうるフローリアクターシステムの開発を目的としている。平成23年度は触媒相(PEGが濃縮した中間層)と有機相(上層)との間の大きな粘性差が二相間の界面変動に及ぼす影響に着目し、反応の伴わない液-液二相系流れを対象にした流動解析実験を行うことで圧力センサ導入位置や旋回流ノズルの導入について以下のような基礎的知見が得られた。また、交流電界操作適用前の水酸化カリウム(KOH)水溶液とPEGを含むトルエン溶液の混合注入システムの構造と操作法が触媒相の初期状態に及ぼす影響を実験的に検討した。 (1)粘性差の大きい非混和液-液二相流れにおける界面変動の解析 水(上層)とシリコンオイル(下層)の間の界面の時空間的変動に影響を及ぼす水の供給操作法を検討した。統計解析に基づく実験的検討とCFDシミュレーションを組み合わせることで、界面変動解析において周期的変動操作に基づく溶液の供給法が有用である知見が得られた。また、水の供給において旋回流ノズルを導入した実験も行い、旋回が強い条件では局所的に界面の時間的変動が大きくなる挙動が観測されたが、旋回流の適用においては圧力変動データと界面変動の相関関係の抽出が難しいと推察された。 (2)水溶液と有機溶媒の混合注入システム操作法の開発 透明な微小流路を用いたKOH水溶液とトルエン溶液の混合流れの観察実験により、PEGの局所的相分離による流体の粘性増加が二溶液混合操作の安定性を低下させる問題点を明らかにし、本研究ではトルエン溶液の主流管壁面のせん断応力を利用したKOH水溶液の供給操作法を提案した。また、反応器内部の混合注入位置が触媒相のバルク体積と相内の水分量に影響を及ぼすことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
反応の伴わない液-液二相系流れを対象にした流動解析実験において圧力変動の測定と解析を実施するまでにいたらず、圧力センサ導入位置の決定法についての基礎的知見が十分に得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的の達成のために取り組んできた三つのサブテーマの一つである「旋回流を利用した反応溶液供給システムの設計」については、圧力変動データと界面変動の相関関係の抽出が難しいと考えられるので、反応溶液供給操作方式を旋回流方式から周期的変動操作方式に変更する。
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