2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期G2/M期制御を通じたエンドリプリケーション開始機構
Project/Area Number |
22570040
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 正樹 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10242851)
|
Keywords | 細胞周期 / 核内倍加 / シロイヌナズナ / 植物 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
GIG1によるエンドリプリケーション制御機構 ・gig1変異体に見られる核DNA量の増大は、有糸分裂を正常に完了できないために染色体数が倍加する現象(エンドマイトーシス)に起因していることがわかった。(GIG1遺伝子のパラログであるUVI4の変異体では、過剰なエンドリプリケーションを起こし、核DNA量を増大させていることがわかった。Gig1 uvi4二重変異体は致死であったことから、機能重複が考えられるが、単独変異体の表現型が異なることから、それぞれ独自の機能も有していると考えられた。 SCL28によるエンドリプリケーション制御機構 ・GR(グルココルチコイド受容体)融合型のSCL28をシロイヌナズナに導入した形質転換体を作出し、誘導条件、および非誘導条件における遺伝子発現を網羅的に解析した。その結果、誘導後3時間で、細胞周期のS期に関連する遺伝子群の発現が減少することがわかった。SCL28はDNA複製関連の遺伝子を標的とした転写抑制に働いている可能性が考えられた。 ・GFP-SCL28をシロイヌナズナに形質転換し、SCL28タンパク質の局在解析を行った。この形質転換体の根ではパッチ状にGFPの蛍光が観察されたため、細胞周期依存的に発現していることが確認された。細胞内局在性についても調べた結果、ほとんどの蛍光は核に見られるが、核以外にも細胞質の特定の構造体に蛍光が観察された。核以外の局在についてはSCL28-GFPを、作成して再現性を確認する予定である。 ・人工miRNAを用いて、SCL28遺伝子のノックダウン株を作出した。今後、これらを用いてエンドリプリケーションや細胞分裂に関する表現型、および遺伝子発現について解析を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SCL28の分子機能として、DNA複製関連遺伝子の転写を抑制する働きがあることが新たにわかった。これにより、今後の研究方針が定まり、次年度以降の進展が期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
SCL28がDNA複製関連遺伝子の転写調節に関与することが示唆された。GRASファミリー転写因子には、一般にDNA結合能がなく、他のDNA結合タンパク質を介して転写調節をしていると考えられている。そこで、SCL28はE2FのようなS期遺伝子の制御に関わる転写因子を介して、転写調節を行っている可能性がある。このような可能性について調べるため、GFP-SCL28が結合するタンパク質複合体を精製し、E2Fが共存しているかどうか、また他にどのようなタンパク質が存在するか解析する。
|