2010 Fiscal Year Annual Research Report
アカサビザトウムシ種複合体における環状重複をともなう色斑と核型の著しい地理的分化
Project/Area Number |
22570092
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
鶴崎 展巨 鳥取大学, 地域学部, 教授 (00183872)
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Keywords | 種分化 / 輪状種 / 核型分化 / 中部地方 / ザトウムシ目 / 地理的変異 / 染色体 / 環状重複 |
Research Abstract |
環状重複(circular overlap)は地理的に少しずつ分化したある生物種の一連の集団がその両末端で再び分布域を重ねたときに生殖隔離を達成していて,別種としてふるまう現象で,種分化が地理的な形質分化の積み重ねで生じることを例証するものとして注目される。しかし,その実例は珍しく,また染色体数の分化がこれに関わるケースは知られていない。最近の調査で四国北部および本州中部地方の2カ所において染色体数または色斑で環状重複の現象を示すことが示唆されたアカサビザトウムシ(クモガタ綱ザトウムシ目)について,さらに核型と色斑の地理的分化を調査し,この現象がどのような過程や条件で発達するのかを探るのが,本研究の目的である。 2010年度は,このうち,長野県西部の環状重複を確認するため,染色体数分化のデータが空白の岐阜県から滋賀県にかけての地域での本種の染色体数分化を中心に調査した。その結果,滋賀県では琵琶湖の西側では2n=16であるが,東側では2n=12で,琵琶湖の南側にはこれらの移行域があることがわかった。また,滋賀県東部一帯が2n=12であるにもかかわず,その東では再び増加するようで。岐阜県では西部の関市板取川渓谷で2n=15/16,白川村の天王峠など3カ所で2n=14,飛騨市二十八滝で2n=12,高山市秋神温泉で2n=10と東に向かって徐々に減少していることがわかった。長野県西南部には2n=10/12の多型集団があるので,これにつながっていると思われる。北アルプスの岐阜県側にあると予想した2n=14~18の移行域は今回は確認できなかった。
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Research Products
(14 results)