2012 Fiscal Year Annual Research Report
アカサビザトウムシ種複合体における環状重複をともなう色斑と核型の著しい地理的分化
Project/Area Number |
22570092
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
鶴崎 展巨 鳥取大学, 地域学部, 教授 (00183872)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 種分化 / 輪状種 / 核型分化 / 環状重複 / ザトウムシ目 / 地理的変異 / 染色体 / B染色体 |
Research Abstract |
遺伝子交流を保ちながら地理的に分化した一連の集団が一周し,その両末端で交雑なしに分布を重ねる現象を環状重複(circular overlap)という。北極を周回して分布するセグロカモメなどで報告されているが,実例はきわめて少ない。本州以南の日本各地に広く分布するアカサビザトウムシGagrellula ferruginea(クモガタ綱ザトウムシ目)では,これまでに2カ所(長野県北アルプス周辺と香川県讃岐山地)で環状重複とみられる現象が生じている。今年度は両地域で分布の重複の幅や染色体数の地理的分化をより詳細に追跡した。 北アルプス:北アルプス山腹の一部の集団で同所的となる北陸型と関東型の分布と染色体を約15地点で調べた。糸魚川市では両者の分布はマクロには重複するが,内部では相互排他的で,同所的集団は見つからなかった。北陸型と関東型は色斑・染色体数ともに大きく異なるが(この地域内で関東型は小谷村では2n=18,大町市~松本市周辺では2n=16,北陸型は2n=10-18と変異するが,同所的集団では相互に数も核型も大きく異なる),両者の交配前生殖隔離機構が不完全で,繁殖干渉により同所的になれない可能性が高い。 讃岐山地:2n=12と2n=20の集団の同所性が確認されている竜王山山頂の周辺で,両核型の分布の重複の範囲と相対頻度を調査した。この周辺では同所的集団は竜王山山頂付近のごく狭い範囲に限定されており,周辺はすべて2n=12の集団で固められていることがわかった。ここでも繁殖干渉により同所性が安定的ではないことを示唆する。 また,並行して調査したサトウナミザトウムシNelima satoiでは,兵庫県円山川以東から福井県にかけての広範囲で染色体数が2n=18/19/20の多型状態を示すこと,円山川と京都府由良川の間ではB染色体も染色体数の変異に関わっていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(14 results)