2011 Fiscal Year Annual Research Report
一次線毛を介した神経細胞機能に関わるシグナル伝達経路の解明
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22570138
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
垣沼 直人 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (00550360)
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Keywords | 細胞内情報伝達機構 / 一次繊毛 / カルシウムシグナル経路 / 三量体Gタンパク質シグナル伝達経路 / 海馬 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
神経系の細胞における一次繊毛上の受容体を介したシグナル伝達経路を解明することを目的とし、海馬神経細胞・アストロサイト混合培養系を用いてリガンドXおよびそのファミリーであるリガンドY、Zで刺激した際にアストロサイトにおいてカルシウム振動の頻度上昇が確認された。また、このシグナル伝達系特異的刺激薬であるAにおいても同様にカルシウム振動の頻度上昇が確認された。このカルシウム振動の頻度上昇は細胞外カルシウムを除去すると阻害された。また、ERにおいてはリアノジン受容体阻害剤で阻害され、IP_3受容体阻害剤では阻害されなかった。このことから、細胞膜に存在するチャネルによって細胞内にカルシウムが流入することでカルシウム振動が起こっており、この細胞内カルシウムの上昇によってリアノジン受容体によるカルシウム誘導カルシウム放出がおこっていることが示唆された。また、アストロサイトにおけるこのシグナル伝達系の刺激によって細胞外にATPが放出され、このATPによってカルシウム振動の頻度上昇が起こっていることを確認した。ATPの受容体は現在のところ不明であるが、ATPの放出によって細胞外カルシウムの流入が起こるtriggerとなっている可能性がある。更に、リアノジン受容体阻害剤並びに細胞外ATPを分解するApyrase処理を行うとNestinの発現が阻害された。このことから、このシグナル伝達系を刺激することによって、アストロサイトからATPが分泌され、分泌されたATPがカルシウム振動を活性化し、神経幹細胞様の作用を獲得する可能性が示唆された。すなわち、このシグナル伝達系の活性化により海馬アズトロサイトの神経幹細胞的性質を誘導している可能性があり、神経障害時の治療法開発への端緒となる可能性を有している。
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