2011 Fiscal Year Annual Research Report
胚性幹細胞を用いた効率的なトランスジェニックニワトリの作成技術の確立
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22570177
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
MAK SiuShan 独立行政法人理化学研究所, 感覚器官発生研究チーム, 研究員 (40442967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAJ Ladher 独立行政法人理化学研究所, 感覚器官発生研究チーム, チームリーダー (70392173)
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Keywords | 組換え / 胚性幹細胞 |
Research Abstract |
1.我々はこれまでニワトリROSA26の遺伝子発現パターンを分析してきた。しかし分析の結果、ニワトリROSA26はマウスのホモログとは異なり、ユビキタスに発現しないことが分かった。ユビキタスに発現する遺伝子座を探していたため、実験計画を変更し、NCBI GEOデータベース上のマイクロアレイデータを用いて発現率の高いユビキタス遺伝子を特定する。現在、多数の候補遺伝子を特定中である。 2.2つの蛍光タンパク(核局在標識タンパクmCherryと細胞膜標識タンパクVenus)で構成された導入遺伝子を作成した。(タンパクはウイルス由来2A配列で自己プロセシング開裂する。)現在、培養細胞株を用いてその有用性を確認している。 3.実験には質の高いキンカチョウ受精卵が大量に必要なため、キンカチョウに効率よく卵を産ませる飼育技術を身につけた。 4.胚盤葉の培養においてニワトリとキンカチョウでは細胞集団の様相が異なるが、我々はそれが産卵時の発生ステージの違いに因るものだと確認した。胚盤葉細胞の培養において多数の異なる因子がどのように作用するかを徹底的にスクリーニングした結果、培養したニワトリおよびキンカチョウ胚盤葉からES細胞様の細胞を培養することに成功した。4日間の培養でコロニー形成を確認し、そのコロニー形成細胞がNanogやOct3/4のような推定ES細胞マーカーを初めて発現したのである。現在、feeder-free培養下でのコロニー形成条件を最適化している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
キンカチョウを発生生物学研究に用いた前歴がないため、多数の有精卵を得るためには最適な飼育方法を考案する必要があった。また、ニワトリとの発生ステージに差があることから、キンカチョウの胚盤葉を培養するには独自の新しい培養条件をつくる必要があった。このため当初の計画よりもやや遅れているが、ようやくキンカチョウの細胞培養ができるようになり、今後は早く結果が出せる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.キンカチョウ胚盤葉の特質に関する論文を投稿する。(現在執筆中。) 2.鳥類ES細胞様の細胞培養条件の最適化を続ける。(細胞を維持するために必要な因子を見つける。) 3.ES細胞マーカーの発現を確定することによって鳥類ES細胞様の細胞を特性化する。 4.これらの細胞について遺伝子導入の可能性を探り、ウイルスを用いない鳥類キメラを作成する。
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