2010 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞におけるカドヘリン・カテニン複合体局在化因子の探索
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22570188
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
永渕 昭良 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80218023)
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Keywords | カドヘリン / カテニン / 細胞間接着 / 上皮極性 |
Research Abstract |
上皮組織構築は多細胞動物の形作りの基本となるだけではなく、様々な幹細胞の所在地でもあり、また上皮組織の崩壊は癌細胞の転移浸潤性の増大につながる。カドヘリン・カテニン細胞接着複合体は上皮極性形成・上皮組織構築において重要な役割を果たしている。しかし最近PAR-3複合体など極性関連因子が逆にカドヘリン複合体の局在を規定している可能性を見いだした。そのため細胞間接着と上皮極性形成との関係の再検討が必要になってきている。本研究はこの問題を、培養条件下で上皮分化誘導可能なF9細胞と、カドヘリン・カテニン複合体構成因子の遺伝子破壊を行ったF9細胞を用いて解明することを目的としている。具体的にはカドヘリン・カテニン複合体の局在を規定する、上皮細胞特異的な因子の同定を目的としている。 さらに、上皮細胞でカドヘリン・カテニン複合体の局在を阻害する因子の開発も目指す。上皮組織構築は最終的には単に動物の形作りに重要なだけではなく、細胞の不等分裂の基盤ともなっている。本研究の成果は組織構築機構だけではなく、細胞分化の制御機構の解明にもつながり、基礎生物学的視点からだけではなく、再生医学という視点からも重要な意義を持つと考えている。本年度はこれまでの懸案であったEカドヘリン欠損細胞の単離に成功した。そのため、内在性カドヘリンがない状態で、カドヘリン・βカテニン複合体と相互作用する因子を検索することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度、熊本大学発生医学研究所から、奈良県立医科大学生物学教室に移動したため、教室員の教育、研究室の移設、組換えDNAの登録などで研究時間を十分にとることができなかった。研究費を繰り越すことにより平成23年度に効率よく研究をする計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
教室員の拡充が期待できるため、本研究実施期間内に当初より深く当研究課題を進める可能性を考える。具体的には、当初より一段階進んだ遺伝子破壊細胞を作成し、それを用いてより詳細なβカテニン結合因子の同定方法を検討する。この場合、細胞の樹立に時間がかかるため、次年度も研究費の繰越が必要になる可能性が考えられる。
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Research Products
(2 results)