2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22570217
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
今井 清博 法政大学, 生命科学部, 教授 (50028528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 高稔 法政大学, マイクロ・ナノテクノロジー研究センター, 博士研究員 (00500737)
中川 太郎 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 専任助手 (30401889)
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Keywords | ヘモグロビン / 分子進化 / 祖先型蛋白質 / 魚類 / 円口類 |
Research Abstract |
脊椎動物の祖先型ヘモグロビン(Hb)が分子進化の過程において酸素結合協同作用などの高次機能を獲得した機構について新たな知見を得ることによって、自然が行った蛋白質分子設計の原理を読み取ることを目的として、本年度は、設計および合成した各祖先型Hb遺伝子の大腸菌を宿主とした発現系を構築して祖先型Hbの発現テストを行った。 【硬骨魚類の祖先型Hb遺伝子の発現系構築】 作成した最尤系統樹(ML-tree)をもとに設計・合成した硬骨魚類の祖先型Hbであるancfα、ancfβおよびNode296α、Node203β遺伝子の発現型プラスミドを構築した。これらのプラスミドを大腸菌へ導入して各種形質転換体を取得した。得られた各種形質転換体を用いて発現実験を行った結果、硬骨魚類の各祖先型Hb蛋白質は、約14kDaの大きさと示し、補欠分子であるヘムを有したホロ蛋白質であることを示す結果が得られた。 【円口類の祖先型Hb遺伝子の発現系構築】 円口類およびヤツメウナギの祖先型Hb遺伝子であるNode23およびNode25遺伝子の発現型プラスミドを構築した。さらにこれらプラスミドを大腸菌へ導入して各形質転換体を取得し、それらを用いて発現実験を試みた。SDS-PAGEおよび分光学的手法による解析の結果、産生した祖先型Hb蛋白質は、約14kDaの大きさと示し、補欠分子であるヘムを有したホロ蛋白質であることを示す結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
逆分子進化法による祖先型Hbの研究にとって必須の大腸菌を宿主とした各祖先型Hb遺伝子の合成がほぼ成功し、発現系を構築することができた。また産生した各祖先型Hb蛋白質の精製についても、すでに予備実験を行い、精製方法も確立しつつあり、今後、これらの祖先型Hbの物性や機能の解析を行う準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
硬骨魚類および円口類の祖先型Hb遺伝子について大腸菌を宿主とした発現系の構築に成功しているので、今後はこれらの祖先型Hbの精製標品を用いた紫外可視吸収スペクトル、CDスペクトルおよび酸素解離曲線の測定などの物性解析を行うために、多量の精製標品が必要になることが予想される。そのため、これらの蛋白質の発現収率の向上の工夫をするほか、形質転換した大腸菌の大量培養および蛋白精製を繰り返し行うことによって克服したい。
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Research Products
(14 results)