2011 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化最前線・南九州~島嶼のタンカンの生理的特性解明と高品質安定生産技術の確立
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22580036
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
冨永 茂人 鹿児島大学, 農学部, 教授 (90164029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅史 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (00305161)
久保 達也 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (70359983)
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Keywords | 果樹 / 温暖化最前線 / 南九州・島嶼 / タンカン / 生理的特性 / 安定生産 / 着花・結実 / 炭水化物 |
Research Abstract |
平成22および23年度の、南九州地域、屋久島および奄美大島における調査研究で以下のような結果を得た。ただし、果樹は永年生作物であることから平成24年度も同様の調査を継続する。 (1)温暖化条件でのタンカンの適正台木を選抜するために、鹿児島県島嶼在来カンキツ、導入カンキツなど15種類の台木を供試して、光合成特性、栄養成長、着花・結実性との関係について調査した結果、樹体発育や光合成速度は台木の種類や属によって差があり、このことがタンカンにおける連年安定生産に大きく関係していると思われ、平成24年度の調査を含めて、3年間の試験結果から、タンカンに対する適正台木を選択できる可能性が高くなった。 (2)-(1)着花・結実特性、果実の発育・品質との関係について調査した結果、タンカンでは直花はほとんど結実しないこと、果実の発育や品質からみて、直葉数4~5枚の有葉果が良く、摘果など栽培技術によってそのような有葉花を着生させ、結実させることが望ましいことを明らかにした。(2)タンカン葉の光合成速度には季節的変化があること、(1)で果実品質が優れる有葉果では着葉数が多いことにより果実の発育と品質が良好であることを推察した。(3)タンカンでは着果負担が増加すると、根(特に直径5mm程度の中根)のデンプン含量が著しく低下し、翌年の着花が減少し、隔年結果が助長されることを明らかにし、太根のデンプン含量がタンカンの適正着果の指標として用いることが可能であることを明らかにした。しかし、根のデンプン含量の測定は困難であることから、枝葉の炭水化物含量を指標として用いることの可能性について検討する。 (3)-(1)温暖化条件下では、降雨の増加と相まって栽培現地においては様々な果皮障害が発生することが示された。その発生防止試験については平成24年度まで継続する。(2)南九州、屋久島および奄美大島で多発している異常落葉・落果は結実過多などが原因であると推察し、その発生は地域や管理状態によって左右されることを見いだした。平成24年度は過去の調査研究成果と関連づけ、異なる温暖化条件下でのタンカンの生理学的特性を明確にし、それらの発生防止策を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22および23年度の試験で、タンカンの適正台木について選択できる可能性を見いだした。また、隔年結果防止には適正着果量を維持することが重要であり、適正着果量の指標に太根のデンプン含量が使用できることを明らかにした。温暖化条件下で発生するタンカンの生理障害の発生要因についても推察した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度である生成24年度には、平成22および23年度に明らかにした上記成果を再確認するとともに、栽培農家に提供できる具体的栽培技術((1)適正台木、(2)摘果技術、(3)生理障害発生防止技術など)について検討する。また、適正着果量の指標に用いることが可能な太根のデンプン含量は実際場面では測定が困難であることから、枝葉の炭水化物含量で代用できるように研究を進める。
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Research Products
(2 results)