2011 Fiscal Year Annual Research Report
都市公園における指定管理者制度導入の動向とアダプティブマネジメント手法の構築
Project/Area Number |
22580039
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
下村 泰彦 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (50179016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 昇 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00181652)
加我 宏之 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00326282)
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Keywords | 都市公園 / 利用評価 / 樹林管理 / 指定管理者 |
Research Abstract |
本年度は、都市公園における市民参画型管理活動としてのアダプティブマネジメント手法の構築に向けた現在の都市公園の利用実態と管理実態との関連性について、主として探った。 調査対象公園は、大阪府営公園大泉緑地を選定した。 調査では、自然的・物理的ポテンシャルを把握するため、航空写真や現地調査を通じて、樹林地の植生状況を捉えた。高木については本数・樹高(代表値)・被度・樹種・種構成・種名、亜高木については本数、樹高(代表値)・被度・樹種・種名を把握し、林床については草丈と被度を調査した。一方、利用性評価のための意識調査では、「散歩」「ジョギング」「ラジオ体操などの軽運動」「ピクニックなどの食事休憩」「BBQ」「団体利用としての自然学習(ネイチャーゲーム・自然観察)」「自由行動としての自然遊び(木の実拾い・木登りなど)」「読書・物思いにふけるなどの休憩・休息」「音楽演奏などの静的な利用」の計9つの利用目的を用いて「非常に適する・適する・適さない」の3段階尺度で、現地にて被験者に評価を求めた。さらに、樹林地管理実態に関する調査では、指定管理者へのヒアリング、施設管理日報、林床除草回数等から捉え、利用目的に応じた適正な樹林管理のあり方を、樹林地の利用評価と管理との関係性から探った。 結果、静的利用に対しては、年間3人工(人数×時間)未満/900m^3程度に危険木や枯木の伐採、枯れ枝の選定や運搬・チップ化、ひごばえの剪定などの高木管理と、年間1~2回の除草する程度の粗放な林床管理が適合する。一方、動的利用には、中庸の高木管理と高度な林床管理、自然遊びには自然の多様性・落ち着き感がともに中庸程度の樹林地が適し、高木・林床ともに粗放管理が求められる。ピクニックには自然の多様性が高く快適性が中庸程度の樹林地が適し、中庸の高木管理と粗放な林床管理が適合することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アダプティブマネジメント手法の構築に向けた基礎的なデータである現状の樹木・植生の管理実態と利用者の評価との関連性を把握したことは、非常に有意義である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、市民参画型の都市公園管理の可能性を探る必要があり、次年度に向けての調査方法を検討している。一方で、管理実態を全国規模で探る必要性も出てきており、方法論の修正も視野に入れ、研究方法を再検討することも必要となると考える。
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