2012 Fiscal Year Annual Research Report
長期保存標本のDNA解析による昆虫の侵入と分布拡大機構の解析
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22580061
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
村路 雅彦 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 上級研究員 (20355746)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 昆虫 / 乾燥標本 / DNA塩基配列 / 分子系統解析 / 生物地理 |
Research Abstract |
昨年度まではゴマダラカミキリを主要な対象とするDNA解析を実施した。今年度は、サトウキビ害虫のカンシャクシコメツキ2種についても同様な解析を実施した。まず沖縄県農業研究センターの協力により、南西諸島64地点よりサキシマカンシャクシコメツキを入手し239個体のDNAを精製した。オキナワカンシャクシコメツキについては66地点に由来する238個体のDNAを精製した。圃場での本コメツキの発生調査には通常フェロモントラップを使うが、トラップ設置から回収までの期間や気象条件等々の要因のため試料の乾燥状態やDNA劣化の程度には大きなばらつきがある。この様な品質の異なる試料を併用してDNA解析を行うと、シュードジーンが混入するなどのため正しい結果が得られない事が多い。ここではそのような不正な塩基配列を詳しく解析し、本コメツキの真正ミトコンドリアDNAと特異的に反応するプライマーを設計することで、この問題をクリヤした。これまでの解析で、155個体からCOI遺伝子等を含む1,357bp断片、124個体から2種類のrDNAを含む1,540bp断片の塩基配列を確定した。これらを用いた分子系統解析では、2つのメジャーグループが検出され、南西諸島北半部にオキナワ型、南半部にサキシマ型が認められた。しかし前者の分布は喜界島、奄美大島、徳之島と周辺離島を含む沖縄本島地方で、徳之島と沖縄本島の間の沖永良部島や与論島では、後者の型に置き換わっていた。マイナーグループの類縁関係から判断して、沖永良部と与論島のものは、それぞれ宮古地方と石垣・西表地方からの侵入者であると判断された。また両型が共存する地域集団も多く、近年における沖縄本島→与那国島、与論島→沖永良部島、沖縄本島北部→与論島と宮古島などの侵入が伺われた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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