2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規浄水発生土の鉄・ケイ素供給による環境保全型水稲生産の安定化技術の構築
Project/Area Number |
22580065
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 豊彰 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (10176349)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田島 亮介 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (60530144)
|
Keywords | ポリシリカ鉄浄水発生土 / 環境保全型農業 / ケイ素栄養 / ケイ素資材 / 酸化鉄 |
Research Abstract |
1)ポリシリカ鉄凝集剤による浄水発生土(PSI浄水発生土)の特性評価 群馬県、埼玉県、神奈川県、滋賀県、大分県の浄水場から採取した8試料のPSI浄水発生土の全ケイ酸、有効態ケイ酸(ポット栽培試験によって水稲が吸収したケイ酸)、全鉄および易還元性鉄含量(30℃、10週間の湛水培養)は、それぞれ平均で25%、5%、32%、180%であった。PSI浄水発生土のケイ素供給能は標準的なケイ素肥料(ケイ酸カルシウム)の約30%に相当し、有効態鉄供給能は市販含鉄資材(転炉スラグ5点の平均値)の約300%に相当した。 2)有機栽培条件での水稲根の動態解析 有機質肥料施用に伴う根の動態を明らかにするために,化学肥料と有機質肥料を施用した条件で水稲根の発生・枯死を比較した。その結果,根の発生・枯死量は有機質肥料施用で、より大きくなった。これは有機物中の窒素の溶出が遅いために,必要な窒素を獲得するために根が多く発生した可能性と有機物施用で土壌の還元が発達して還元障害が起きたために根腐れが起き,その補償作用で根の発生が促進された可能性の2つが考えられた。 3)有機栽培体系におけるケイ素資材およびPSI浄水発生土の水稲収量に対する効果 水稲の有機栽培(有機質肥料施用、化学肥料・農薬無施用)を資材無施用、ケイ酸カルシウム、シリカゲルおよびPSI浄水発生土施用(可溶性ケイ酸をケイ酸カルシウム200g/m^2と等しくなるように施用)の4処理、3反復(1プロット:30m^2)の圃場試験で行った。玄米収量は対照区に比べて3つのケイ素資材施用区で4~8%増加(有意差なし)した。その原因は、ケイ素吸収量が増加したことによる登熟歩合(7~8%増加)の向上であると考えられた。有機栽培体系における水稲の生産性安定化にPSI浄水発生土を含むケイ素資材が有効である可能性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)