2011 Fiscal Year Annual Research Report
花芽誘導活性を有する脂肪酸KODAの光学活性類縁体の化学合成
Project/Area Number |
22580114
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
戸嶋 浩明 茨城大学, 農学部, 教授 (50237088)
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Keywords | 花芽誘導活性 / 植物生理活性 / 脂肪酸 / シクロプロパン / KODA / 光学活性体 / 類縁体 |
Research Abstract |
花芽誘導活性やいくつかの植物生埋活性を有する脂肪酸(12Z,15)-9-hydroxy-10-oxo-12,15-octadienoic acid(KODA)のシクロプロパン環導入型光学活性類縁体4種類を設計し、活性試験に向けたサンプル供給を目的としてスケールアップした合成を行った。4種類の標的分子を2分割した光学活性体スルホンセグメント(C 11~C 18)および光学活性体アルデヒドセグメント(C_1~C_10)として、それぞれの両鏡像体を従来の数倍~10倍スケールの合成により一定量得た。また、スルホンセグメント合成にあたり収率の低かった2つの段階(アルキニル増炭、スルホニル基導入)における収率改善を図ることができ、スルホンセグメントのより効率的な供給が可能となった。さらに追加の合成を進めているそれらセグメントの合成中間体も含めると、最終的にはそれぞれ300mg程度ずつのCPKODAの光学活性体を供給することが可能となった。これらの供給により活性試験を十分に行うことができる見通しがたった。全体としてスケールアップ合成が順調に進んだ。 一方、抵β一酸化型KODA類縁体の合成経路を設計し、その確立の目処が立ったためサンプル供給が可能となった。CPKODA合成における同様のスルホンセグメント、および3炭素分の短鎖アルデヒドセグメントを用いたカップリング反応の後、エーテル化を行うことで目的の骨格を合成することができた。アルデヒドセグメントに必要な立体配置はSharpless不斉ジヒドロキシル化により導入し、その光学純度を向上させるための再結晶化が可能な中間体を見出したため、光学活性な抵β-酸化型KODA類縁体の供給が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題で設計したKODA類縁体の重要な構造修飾部分であるシクロプロパン環骨格の原料となる試薬が購入難(メーカーの製造待ち)となったため、合成全体の進展度に後れをきたした。したがって、予定した達成度にやや遅れている結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
合成経路自体は確立できたので、スケールアップによるトラブルを最小限にとどめて、CPKODAの光学活性体4種類および抵β-酸化型KODA類縁体の合成を進める。シクロプロパン環骨格の原料となる試薬の確保が問題となるが、すでに次年度にむけてメーカーに製造の確認を行った。もし、供給が滞る場合には別経路によるシクロプロパン環骨格の形成も予備実験では成功しているので対応は可能である。ベンゼン環導入型類縁体の合成はスルホンセグメントの合成改良を中心に検討する。
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