2010 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質必要量と可決アミノ酸の代謝制御に関する研究
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22580140
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
金本 龍平 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70147297)
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Keywords | 栄養生化学 / アミノ酸代謝 / タンパク質必要量 / 可決アミノ酸 / アミノ酸応答経路 / アスパラギン合成酵素 / 3-ホスホグリセリン酸脱水素酵素 |
Research Abstract |
本研究は「可決アミノの代謝は、制限アミノ酸の充足率に応答して制御される」と言う仮説を、アミノ酸合成酵素(PHGDH;セリン合成の律速酵素3-ホスホグリセリン酸脱水素酵素、AS;アスパラギン合成酵素)とアミノ酸分解酵素(SDH;セリン脱水酵素、ASNase;アスパラギナーゼ)の発現量を指標に実証すると共に、この制御に対し、アミノ酸飢餓シグナルを伝達するアミノ酸応答(AAR)経路の関与も合わせて検討することを目的としている。平成22年度はカゼインと組成が同じアミノ酸混合食を調製し、メチオニンとアスパラギン含量を変化させ成長期ラットに与え、ASとPHGDHの発現応答を検討した。また、カゼイン加水分解物を胃管投与し、発現制御機構を検討した。カゼインはメチオニンが第1制限アミノ酸で12%カゼイン食では最大成長を示さないがメチオニンを添加すると最大成長を得ることが出来る。つまり、12%カゼイン食はメチオニンを除き、他のアミノ酸は充足しているか、必要量に満たない可決アミノ酸を合成するに充分なアミノ基窒素を含んでいることになる。この知見を基に12%カゼイン食相当のアミノ酸混合物に、メチオニン含量だけを変化させ、AS,PHGDH mRNAの発現を測定したところ、予想に反して、メチオニンの有無にかかわらず、それらの発現量に大きな変化は認められなかった。一方、メチオンニを十分含む混合食にアスパラギンの濃度を変えて与えると、アスパラギン濃度の増加と共にAS mRNAの発現量は減少したが、PHGDH mRNAの発現量に顕著な変化は認められなかった。次に無タンパク食質で飼育したラットにカゼイン加水分解物を投与したところ、加水分解物の量に依存し、AS,PHGDH mRNAが減少し、それと平行してAAR経路の主要因子であるATF4 mRNAも減少することが示された。以上の結果はこれらの酵素の発現がアミノ酸を認識してなされることを初めて示したものであり、それにAAR経路が寄与する可能性をin vivoで初めて示したものでもある。しかし、申請者の仮説を実証するには至っていない。
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Research Products
(1 results)