2010 Fiscal Year Annual Research Report
里山構成種の生理的可塑性と共存機構における林冠ギャップの機能評価
Project/Area Number |
22580170
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
山下 直子 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (70353901)
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Keywords | 里山 / 林冠ギャップ / 再生 / 解剖特性 / 可塑性 / 成長速度 |
Research Abstract |
本研究は、里山林構成種を対象として、異なる光環境に対する個々の樹種の生理的可塑性を明らかにし、林冠ギャップへの適応能力を明らかにすることを目的とする。関西周辺の暖温帯の里山林を構成する遷移初期から後期樹種、常緑、落葉樹、低木種、高木種を含む35樹種について、2年間異なる光環境下(H条件:相対照度100%皆伐地などopenな状態を想定、G条件:相対照度約30%平均的な林冠ギャップの明るさ、L条件:相対照度約4%閉鎖林内を想定)で生育させた苗木について、高さと地際の成長を測定した。また、それぞれの光環境で十分に展開した成熟葉をサンプリングし、葉面積、葉柄長、LMA、クロロフィル含量、クロロフィルab比、気孔密度を測定した。光環境の違いによる気孔密度の変化が最も著しかったのはイヌシデで、H条件での気孔密度はL条件の明るさの3.5倍を超える値であった。その次に高かったのはアカメガシワ、ウラジロノキ、アベマキの高木性樹種で高かった。一方、気孔密度の変化が少なかったのは、アセビ、ヤマツツジ、ソヨゴなどの低木類であった。多くの樹種が、光環境が明るくなるにつれて、気孔密度が増加する傾向であったが、アセビとマンリョウは、H条件よりもG条件の明るさにおいて最も高く、皆伐地などの強い光に対してこれらの樹種は形態的な適応能力が低いと考えられた。一方、異なる光環境での葉面積の変化は、遷移前期樹種であるアカメガシワが最も大きく、暗い環境になるほど、大きく薄い葉をつくる傾向があり、遷移後期樹種と常緑樹種では葉面積の変化の幅が小さく、形態的可塑性が低いことが示唆された。
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Research Products
(6 results)