2011 Fiscal Year Annual Research Report
技術体系変革下における果樹農業構造再編の展開方向の解明
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22580244
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
徳田 博美 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (20346000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 啓哉 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 主任研究員 (70355262)
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Keywords | 生産力構造 / 農家階層間格差 / 樹園地流動化 / 園地基盤整備 |
Research Abstract |
1)わが国で最も規模拡大が進んでいる柑橘産地である静岡県浜松市三ヶ日地区で昨年度実施した農家実態調査を基に,柑橘作における規模階層別生産性格差について分析した。その結果,三ヶ日地区では,従来指摘されてきた大規模層の生産性の低下は6ha規模まで確認できなかった。その要因は,大規模層で園地基盤整備がスピードスプレーヤーの導入など,生産性向上のための資本投資が積極的になされていることが明らかになった。ただし,7ha以上層では生産性の低下がみられ,その要因については次年度の検討課題である。 2)昨年度実施した三ヶ日地区と比較分析するため,熊本市および三重県南部(御浜町,紀宝町)で柑橘農家の実態調査を実施した。熊本市では生産者部会役員を中心とした専業農家層を対象として調査したが,三ヶ日地区と同じように大規模層で積極的な園地整備が進められていることが核に出来た。三重県南部では,生産者の高齢化が深刻化している中で,新規参入者が新たな園地の引き受け手となっている実態が明らかになった。 3)リンゴでは,わが国で最も平均リンゴ作規模の大きい青森県弘前市相馬地区において,生産力構造の農家階層間格差を分析することを目的に,農家調査を実施した。調査農家は,1ha未満から5ha以上まで1haきざみで分類した階層ごとに3~4戸ずつ抽出した。合計で21戸である。今後,規模階層間の経営構造,技術構造の違いおよび関連組織との関係を分析する予定である。 4)果樹農業構造再編のための必須条件となる樹園地流動化の実態と,そのための樹園地流動化調整システムについて,主要な果樹産地でヒヤリング調査を行った。その結果,従来,流動化が難しいため,ほとんど取り組まれていなかった樹園地流動化調整システムを構築しようとしている産地が多いことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた果樹農家実態調査は,すべての地区でほぼ計画通り実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)今年度までに実施した農家実態調査の分析を進め,現段階の果樹農業における階層間の生産性・収益性格差の発現形態とその要因について明らかにし,学会誌などで公表する。 (2)樹園地面積10haを超えるような超大規模経営の経営管理の特質について,実態調査などから分析を進め,その経営経済的特質と今後の発展可能性について検討する。
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Research Products
(5 results)