2010 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける育種研究の展開と遺伝資源の経済的活用に関する研究
Project/Area Number |
22580268
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
須田 文明 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・マーケティング研究チーム, 主任研究員 (70356327)
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Keywords | 育種研究 / フランス / 遺伝資源 / 地理的表示 / 地域ブランド / 農民参加型育種 / フランス国立農業研究所INRA / 研究開発クラスター |
Research Abstract |
農産物市場の飽和による市場価格の低迷がみられる中、行政および生産団体は標準産品との製品差別化により、農産品の高付加価値化をはかってきているところである。地理的表示産品に代表される地域に特徴的な産品の地域ブランド化もまた、こうした高付加価値化の主要な手法の一つをなしてきており、6次産業化の進展に資するものと考えられる。 在来種などの遺伝資源は伝統的製造方法と並んで地理的表示産品の特異性をなすものであることから、本研究ではフランスを事例に、とりわけ種苗や家畜品種といった遺伝資源が地理的表示産品の高付加価値化において、どのような位置を占めるかを解明し、多くの地理的表示産品が作物品種や家畜の品種を指定している事例がしばしばであることを確認した。 また、フランスにおいて近年、モロッコやスペインからの生鮮野菜(とりわけトマト)の輸入が激増しており、政府および生産者団体、研究機関が、とりわけ官能的品質を向上させることで輸入農産物に対して競争力を持てるような品種を育成しようとしている動向について、調査を開始したところである。フランスの国立農業研究所INRAを中心に、量販店(カジノグループ)、種子企業(リマグラン)、農業協同組合(サヴェオル)などからなるトマトの育種研究開発コンソーシアムを事例に、資料収集を行った。スペインやモロッコからのトマトは長距離流通に耐えるために、完熟前で収穫されるために嗜好的品質において劣るとされ、こうした育種コンソーシアムは、完熟で収穫されたトマトが輸送に耐え、嗜好的品質を確保できるような品種の育成を目指している。他方で、有機農業団体は、直売でのトマトの販売に適した品種を育成するために、有機農業者やジーンバンクで保存されていた在来種の評価を行っており、このような農民参加型育種の動向についても資料の収集を開始したところである。
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Research Products
(4 results)