Research Abstract |
難消化性糖質であるフラクトオリゴ糖(FOS)やマンニトール(MN)によるウサギの飼料タンパク質(窒素)利用効率改善効果の発現機構を解明するために,平成23年度は,異なる飼料条件下でのウサギの窒素利用効率改善効果の再現性,さらに血中尿素の盲腸微生物タンパク質への移行,血中尿素の尿中尿素への移行等について検証した。 まず,前年度の試験とは異なる飼料(チモシー乾草あるいは尿素添加飼料)を基礎飼料とし,食糞を阻止しない場合と阻止した場合について検証した。FOSやMNを0%あるいは5%添加した試験飼料を,ウサギに与えて代謝試験を行った結果,前年の試験と同様に,食糞許可条件下でのみ難消化性糖質摂取が窒素蓄積効率を向上させることが確認できた。 次に,血中尿素のトレーサーとして^<15>N標識尿素を静脈内投与し,1時間経過後に門脈血,循環動脈血,盲腸・結腸内容物,尿を採取し,血液・尿中の尿素態窒素・アンモニア態窒素,盲腸内総窒素,盲腸内バクテリア態窒素,盲腸内アンモニア態窒素の窒素濃度または量,さらにこれらの窒素中の^<15>N含有率(atom% excess)を測定し,体内尿素態窒素の動態に及ぼす難消化発酵性糖質摂取の影響を調べた。その結果.マンニトール投与により,血中からの盲腸内への^<15>Nの移行量,盲腸内バクテリアへの^<15>Nの取り込みが増大し,尿中への^<15>Nの排泄が減少した。 これらのことにより,すでに前年度に行った代謝試験等でも示唆されてきたように,難消化性糖質摂取による窒素利用改善効果の発現は,「難消化性糖質が盲腸内微生物増殖のためのエネルギー源となり,十分なエネルギー源を得た盲腸内微生物が血中尿素を窒素源として活発に増殖し,増大した盲腸内微生物タンパク質が効率よくウサギに摂取(食糞)されることによって発現する」という機序によることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた技術的,理論的成果が,実際のウサギの産肉性向上と結びつくかを検証するために,長期間の飼育試験による効果の検証,また効果発現に影響する飼料条件の検証を進める。
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