2012 Fiscal Year Annual Research Report
ウシの黄色ブドウ球菌性乳房炎における好中球介在性炎症増幅機構の役割
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22580347
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
渡部 淳 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所・寒地酪農衛生研究領域, 主任研究員 (60442810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 英司 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所・寒地酪農衛生研究領域, 主任研究員 (50355153)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 乳牛 / 乾乳期乳房炎 / 黄色ブドウ球菌 / 好中球 / エラスターゼ / 細胞外トラップ / ロイコシジン |
Research Abstract |
黄色ブドウ球菌性乳房炎は慢性化すると難治性となるため、その予後を診断するためには炎症フェーズの判定が重要である。昨年度までの結果から、黄色ブドウ球菌性乾乳期乳房炎の亜急性期~慢性期に乳汁中への好中球エラスターゼの放出が著増し、乳凝固物中に細胞外トラップ構造(繊維状、網目状の細胞外 DNA およびその上に点在するヒストンタンパク質)が誘導されることを示してきた。 本年度は好中球エラスターゼが放出されるメカニズムについて、実験的に誘発した黄色ブドウ球菌性乾乳期乳房炎の乳牛病態モデルを用い、細胞外トラップ形成やアポトーシスに伴う好中球細胞死および黄色ブドウ球菌ロイコシジンによる細胞傷害が関与する可能性を検討した。(1) 亜急性~慢性乳房炎の乳汁中には乳凝固物が多量に含まれており、その中の大部分の好中球は細胞核を消失して死滅していた。(2) 亜急性~慢性乳房炎の乳凝固物中、死滅した好中球の周囲に細胞外トラップ構造が検出され、乳清中にも細胞外トラップ構成成分(細胞外 DNA およびヒストンタンパク質)が検出された。(3) 乳凝固物および乳腺組織中の好中球アポトーシスを TUNEL 法で検査したところ、炎症のステージにかかわらず明らかな陽性像は検出されなかった。(4) 牛の黄色ブドウ球菌性乳房炎から高率で分離される反芻動物に特有の遺伝子型をもつ黄色ブドウ球菌(病態モデル作出にも使用)が分泌するロイコシジンは、反芻動物の貪食細胞に対して特に強い細胞傷害性を示した。 以上の結果から、黄色ブドウ球菌性乳房炎では、好中球エラスターゼは細胞外トラップ形成に伴う好中球細胞死によって放出されることが示唆され、好中球細胞死にはロイコシジンによる細胞傷害も関与することが示唆された。また、乳清中の細胞外トラップ成分は黄色ブドウ球菌性乳房炎の亜急性期~慢性期のマーカーとなりうることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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