2010 Fiscal Year Annual Research Report
既存抗真菌薬の阻害活性増強作用剤citridoneAの全合成および創薬研究
Project/Area Number |
22590012
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
針谷 義弘 北里大学, 薬学部, 名誉教授 (30095509)
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Keywords | 全合成 / 位置選択的ヨード環化反応 / 絶対構造の決定 |
Research Abstract |
近年問題となっている深在性真菌症の増加と重篤化に対して新たな抗真菌剤を開発することが極めて難しい現状の中、既存の抗真菌薬で薬剤耐性化が問題となっているアゾール系薬剤の耐性化機構を阻害できる化合物が存在すれば、併用投与することにより既存のアゾール系薬剤の阻害活性を大きく増強させることができるという考えのもと、当大学において新規天然物の探索研究が行われた結果、微生物代謝産物より新規天然有機化合物citridoneA(1)が発見されたcitridoneA(1)は、5-phenyl-α-pyridone環、ジヒドロフラン環、シクロペンテン環が隣接し、四級炭素を一つ含んだ三連続の不斉炭素が存在する三環性の特徴的な構造を有している。現在のところ1の詳細な作用機作は不明である。演者は興味深い生理活性と構造を有する1を標的化合物として選び、全合成研究に着手した。 その結果、Favorskii転位、Curtius転位、Pdカップリング反応を鍵反応として重要中間体である4ヒドロキシ-2-ピリドン化合物2を得ることができた。得られた化合物2に対し、ヨウ素もしくはNISを用いた分子内ヨード環化反応を試み、種々条件検討した結果、塩基の有無により位置選択性を完全に制御できることを見いだし、目的の環化体3を高収率で得ることに成功した。このようにして得られた環化体3は、さらに5工程を経て目的のcitridoneA(1)へと導くことができた。より詳細に絶対構造を決定するため、得られた合成および天然のcitridoneAをそれぞれ0-MOM化し、得られた両生成物の全ての機器データを比較した結果、完全に一致したことから、未知であったcitridoneA(1)の絶対構造を明らかにすると共に、全合成を達成することに成功した。
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