2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22590066
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山崎 尚志 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (20271083)
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Keywords | 薬学 / 発生・分化 / 蛋白質 |
Research Abstract |
哺乳動物に存在する褐色脂肪組織(brown adipose tissue : BAT)は生体のエネルギー源である糖や脂肪を積極的に酸化分解して熱を産生するユニークな脂肪組織である。BATを活性化すれば由満防止に繋がることが期待されることから、我々はBATに特徴的に発現しているタンパク質の同定と解析を行っている。2-88はBATに特徴的なcDNAとしてラットから単離された。2-88は未知のタンパク質をコードしていることが予想されたことから、我々はこのタンパク質の機能を明らかとする目的で研究を開始した。2-88を培養細胞に過剰発現させたところ、前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化が抑制され、2-88は脂肪細胞の分化を制御している可能性が示唆されたが、その機能の詳細は明らかでない。そこで本研究では生体内(特にBAT)に存在する2-88を検出・精製することを試みた。これまでに、2-88に対する特異抗体を複数作成し、培養細胞で過剰に発現させた2-88をウェスタンブロット法により検出し、免疫沈降法により精製する手法を確立した。そこで本年度は作成した抗体を使用して、ラットのBAT内在性2-88の検出およびその精製を試みた。作成した抗体のひとつ#208を用いてBAT細胞抽出液のウェスタンブロットを行ったところ、cDNAの塩基配列から予想されるよりも若干小さなタンパク質が検出された。このタンパク質が目的のBAT内在性2-88かどうかを確認するため#208を用いた免疫沈降法を行ったが、抗体と結合するタンパク質の単離同定には至らなかった。その原因として、内在性2-88量が極めて少なく、また#208の抗原タンパク質に対する結合能が低い可能性が考えられた。そこで現在、作成した特異抗体の中から免疫沈降法やウェスタンブロットに適したものの検索を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の対象は未知のタンパク質であり、このタンパク質の構造や機能に関する情報は単離ざれたcDNAから予想されるもののみである。細胞内に実際に存在するタンパク質を単離しその構造に関する知見を得ることは、機能を明らかとするために重要である。特異抗体を用いたタンパク質の検出およびその精製に手間取ってはいるものの、作成した抗体がどのような用途で使用できるかの知見が得られてきた。こうした知見に基づいて、抗体を使い分けることにより、標的タンパク質の機能解析研究が進展することが期待できるため、おおむね順調に伸展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、作成した抗体を用いて細胞内在性の2-88タンパク質の検出とその精製を試みる。また、本タンパク質は脂肪細胞の分化を抑制することが明らかとなっている。そこで単離されたcDNAの塩基配列から予想されるタンパク質の機能ドメイン構造に基づいて、変異を導入したタンパク質や部分的に欠損させたタンパク質を前駆脂肪細胞に発現させて、本タンパク質の機能に重要な領域を明らかとする実験も引き続き行う。
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Research Products
(3 results)