2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590117
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
椛島 力 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20274673)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | HIV / アプタマー / プロテアーゼ / 薬剤耐性 / 阻害剤 / ウイルス / 感染症 / 変異 |
Research Abstract |
エイズは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染が原因で発症する感染症である。HIVプロテアーゼは、ウイルスの複製に必要なHIV特有の酵素であり、HIVプロテアーゼを標的とした阻害剤がエイズ治療薬として臨床使用されている。しかし、HIVはRNAをゲノムとして持つため容易に変異を起こし、現在のところ、HIV感染を完治するまでには至っていない。特に、HIVプロテアーゼ遺伝子上の変異は、薬剤耐性と密接に関係しており、別の観点からの治療薬開発が求められている。本研究では、HIVプロテアーゼを認識する核酸アプタマーを開発し、そのエイズ治療薬への応用を目的としている。 HIVプロテアーゼをマルトース結合タンパク質(MBP)との融合タンパク質として大腸菌中で発現させ、アミロースカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって、この融合タンパク質を精製した。次に、Factor Xaを用いてMBPタグを切断することによって、mg単位のHIVプロテアーゼを精製した。この精製HIVプロテアーゼは、抗HIVプロテアーゼ抗体によって認識されることを確認した。 また、既報の論文を参考に、薬剤(阻害剤)に抵抗性を示す4種類のHIVプロテアーゼ変異体を作製し、その酵素活性を調べた。その結果、これらの中で2種類の変異体は野生型と同程度の活性を有していることが明らかになった。 今後、精製したHIVプロテアーゼを用いて、これを認識する核酸アプタマーをスクリーニングするとともに、見出した核酸アプタマーが野生型や変異型HIVプロテアーゼの活性を阻害するか調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、組換えHIVプロテアーゼの大腸菌中での発現とmg単位での精製に成功している。また、薬剤耐性と関係する変異型HIVプロテアーゼの作製にも成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
精製した組換えHIVプロテアーゼを用いて、核酸ライブラリーの中からHIVプロテアーゼを認識する核酸アプタマーのスクリーニングを行う予定である。その後、得られた核酸アプタマーが、野生型および変異型HIVプロテアーゼの活性を阻害できるか調べる予定である。
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Research Products
(16 results)