2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞を利用したビタミンKサイクルを標的とする発がん予防機構の研究
Project/Area Number |
22590133
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中村 克徳 信州大学, 医学部附属病院, 准教授 (20361363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 栄 信州大学, 医学部附属病院, 教授 (70169069)
松永 民秀 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (40209581)
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Keywords | ビタミンKサイクル / ヒトiPS細胞 / 発がん予防機構 |
Research Abstract |
本研究では、日本人で高頻度に存在するビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKORC1)遺伝子多型と発がんの関連を解析し、ビタミンK補充による効果的な発がん予防およびがん化学療法の補助的な利用法の確立を目的とする。本研究は、iPS細胞およびES細胞の安定した維持が重要である。既に十分な予備検討を行っているが、細胞の培養に関する技術および知見は日々進化・蓄積されており、本研究分野の最新の事情に合わせた細胞系およびアッセイ系を検討している。人工多能性幹細胞は、体を作るあらゆる細胞に分化可能であり、増殖力に優れていることから、医薬品開発のための安定した細胞供給源として期待される。本研究では、iPS細胞から分化させた細胞のmRNAの解析を行った。この結果、肝細胞マーカー、CYP1A1などの薬物代謝酵素及びCYP3A4の誘導に関与する核内受容体や転写因子の発現が認められた。しかし、CYP3A4およびCYP1A2の発現および誘導ほとんど見られなかった。今後、より成熟した肝細胞を効率よく分化する方法についてさらに検討していく。また、ビタミンKサイクルに関係している酵素のmRNAの解析を行った。iPS細胞から分化させた肝細胞様細胞は、NQO1の発現およびベンゾ[α]ピレンによる3.9倍の誘導が認められた。これに対して、血液凝固第X因子のmRNA発現量は0.35倍に減少した。ヒトiPS細胞由来の肝細胞様細胞は、ヒト肝細胞と同様に薬物による酵素誘導能を有し、ビタミンKサイクルに関係している酵素の発現変動評価系さらには発がん予防研究の評価系として有用である可能性が示された。 さらに、遺伝子多型解析については現在PCR-RFLP法やダイレクトシークエンス法などが一般的には汎用されているが、本研究では遺伝子多型高感度迅速判定法(SMAP法)が有効であるかについて検討し、解析の効率化・臨床応用について論文報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ビタミンKサイクルと関連のある遺伝子多型およびmRNA発現量の変化を指標として発がん予防およびがん化学療法の補助的な利用法の確立を目的としている。iPS細胞から分化させた細胞のmRNAの解析を行った結果、肝細胞マーカー、CYP1A1などの薬物代謝酵素及びCYP3A4の誘導に関与する核内受容体や転写因子の発現が認められた。しかし、CYP3A4およびCYP1A2の発現および誘導ほとんど見られなかった。今後、より成熟した肝細胞を効率よく分化する方法についてさらに検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方法:本研究はおおむね順調に進展していることから、ビタミンKサイクルに関係している酵素のmRNAの解析を当初の予定に従い進める。iPS細胞から分化させた肝細胞様細胞は、ベンゾ[α]ピレンによりNQO1の発現が3.9倍の誘導が認められたのに対して、血液凝固第X因子のmRNA発現量は0.35倍に減少した。ヒトiPS細胞由来の肝細胞様細胞は、ヒト肝細胞と同様に薬物による酵素誘導能を有していたことから、ヒトiPS細胞由来の肝細胞様細胞をビタミンKサイクル関連酵素の発現変動評価系さらには発がん予防研究の評価系としての有用性を引き続き検討する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Clinical screening assay for EGFR exon 19 mutations using PNA-clamp smart amplification process version 2 in lung adenocarcinoma2011
Author(s)
Takuya Araki, Kimihiro Shimizu, Tomonori Nakamura, Masaru Baba, Yuki Kawai, Katsunori Nakamura, Yasumasa Mitani, Kyoko Obayashi, Tohru Aomori, Yukiyoshi Fujita, Yohei Miyamae, Seiichi Kakegawa, Kyoichi Kaira, Alexander Lezhava, Yoshihide Hayashizaki, Izumi Takeyoshi, Koujirou Yamamoto
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Journal Title
Oncol Rep
Volume: 26
Pages: 1213-1219
DOI
Peer Reviewed
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