2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞に於ける新規情報伝達システムの分子細胞生物学的解析
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22590189
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
竹田 扇 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (20272429)
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Keywords | 神経細胞 / 一次線毛 / 情報伝達 / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
培養海馬神経細胞と視床下部神経細胞株N41を用いて神経細胞の一次繊毛内の受容体輸送を観察した。本研究の意義は神経細胞の一次繊毛を新規情報修飾モジュールと見立てた場合に、その機能素子であるG蛋白質共役型受容体(GPCR)の動態を解析することで繊毛の感度調節の分子機構が解明される点にある。EGFP::SstR3,EGFP::MCHR,EGFP::5HT6Rの発現ベクターを初代培養マウス海馬神経細胞に導入したところ、これらの標識受容体は一次繊毛に特異的に発現した。繊毛内での動態を観察すると一部ダイナミックな動きを見せるものもあったが、多くは静止していた。発現量の調節と光学系の調整を行いながら受容体の動態が明瞭に観察出来るものに関してデータを蓄積した。またGPCRの強制発現を行うと一次繊毛が有意に伸長する事が観察された(結果1)。これは予想外の新知見としてその分子メカニズムを解析中である。また、神経細胞の一次繊毛を刺激した際の細胞応答を解析する為の準備段階として星状膠細胞を用いて、細胞内のカルシウム動態を測定した。一次繊毛上に存在するGPCRに対するリガンドを加えると、グリア細胞での細胞内カルシウムは上昇し、繊毛を介した細胞内情報伝達系の関与が示唆された(結果2)。現在繊毛を消失させた状態での細胞内カルシウム反応を検討中である。以上2つの結果を総合すると、GPCRは一次繊毛形成に関わる分子機構を活性化させることで繊毛形成を促進させるのと同時に、その存在自体が外部環境の変化を感知し細胞内カルシウムを上昇させる事で神経系の機能調節に与っていると考えられる。
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