2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞に於ける新規情報伝達システムの分子細胞生物学的解析
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22590189
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
竹田 扇 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (20272429)
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Keywords | 神経細胞 / 一次繊毛 / 情報伝達 / 細胞内輸送 / G蛋白質共役型受容体(GPCR) |
Research Abstract |
1.繊毛内受容体輸送の細胞生物学的解析蛍光蛋白質(GFP)融合分子として各種受容体を発現させ、その動態を解析することで一次繊毛の機能を解析する事を企図したものである。一次繊毛内での受容体の動態を解明することで、センサーとしての一次繊毛の感度がどの様な形で調節されているのかが明らかとなる。これに依って一次繊毛特異的に受容体が発現することが、神経細胞の情報伝達系にどの様な意味を持つかが解明される。現在、タイムラプスライブセルイメージで検討を行っているが、短いタイムウインドウでは、様々な条件検討にも関わらず受容体動態の大きな変化が見られなかった。そこで、現在免疫電子顕微鏡法を用いて受容体の空間分布を観測する事で研究を進めている。免疫電顕法に関しての条件検討が進行中である。 2.一次繊毛バイオセンサーに依る情報伝達機構の検討一次繊毛上に発現したGPCRをリガンド刺激する事で齎される細胞変化を解析する事で、一次繊毛のバイオセンサーとしての機能が明らかになる。ここでは培養細胞にG蛋白質共役型受容体(GPCR)を発現させ、これをリガンド刺激した際の、細胞応答を細胞内カルシウム応答の変動として解析を行なった。GPCRをリガンド刺激すると、細胞内カルシウムの上昇が観察され(Flexstation)、その応答は繊毛への輸送が障害される変異体の発現細胞株では有意に減少した。また、現在繊毛内に輸送はされるがリガンドには反応しない変異体発現実験を行なっており、これらの両者からGPCRを介した細胞応答への一次繊毛の重要性を証明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実施計画では繊毛内受容体輸送に関しても検討を行うことになっているが、現在のところ免疫電顕の条件検討を行っているところで停止しており、若干の遅れが見られる。これはトランスフェクション用ウイルスの作成、並びにsiRNAの条件検討に予想以上の時間がかかった為である。
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Strategy for Future Research Activity |
一次繊毛上の受容体に依る情報伝達機構に関しては、順調に進行しており、今後その受容体機能の一次繊毛特異性を検証する事で一次繊毛を用いた新規情報伝達機構を解明していく方針である。また、一次繊毛を消失させることで、一次繊毛外のチャネルや受容体の機能を変化させる事が判ったので、繊毛外分子への影響を検討し、新たな情報伝達機構の概念を構築することを企図する。
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