2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞容積調節蛋白質ABCF2の細胞死誘導における役割の解明
Project/Area Number |
22590215
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
赤塚 結子 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 准教授 (90321611)
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Keywords | 細胞容積調節 / 細胞死誘導 / ABCF2 / α-アクチニン-4 |
Research Abstract |
(1)ABCF2の野生型は低浸透圧刺激直後に細胞質から細胞膜に集積してくるが、ABCF2の550番目から590番目のアミノ酸がその集積に関わるシグナルを受け取る領域であることが前年の研究でわかった。一方、アポトーシスを誘導するH_2O_2刺激では、ABCF2の細胞膜集積は見られないが、この現象はABCF2の550番目から590番目のアミノ酸を欠失しても変わらないことがわかった。つまり、低浸透圧刺激によって細胞膜にABCF2を集積させるシグナルと、H_2O_2刺激によってABCF2を細胞質に留めるシグナルは、ABCF2の異なる領域で受け取られることが示唆された。今後、H_2O_2刺激によってABCF2を細胞質に留めるシグナルを受け取る領域を明らかにしていく。 (2)ABCF2の601番目のチロシン残基はチロシンリン酸化の候補部位であるが、このチロシンをアラニンに変異させた点突然変異体(Y601A)は、低浸透圧刺激後の細胞膜への集積が、界面活性剤不溶の分画において見られないことがわかった。また、この変異体とα-アクチニン-4(ABCF2の結合蛋白質)の結合能は野生型と同様に低浸透圧刺激によって亢進していた。一方、野生型ABCF2を大量発現させた細胞で見られる低浸透圧刺激後の細胞容積調節の抑制は、Y601Aを大量発現させた細胞では見られず低浸透圧刺激後の細胞容積調節は全く正常であった。したがって、低浸透圧刺激後、界面活性剤不溶の分画にABCF2が集積しないことが低浸透圧刺激後の細胞容積調節に何らかの影響を及ぼすことが示唆された。またその集積には601番目のチロシン残基のリン酸化が必要である可能性も示されたので、今後検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
低浸透圧刺激によって細胞膜にABCF2を集積させるシグナルと、H_2O_2刺激によってABCF2を細胞質に留めるシグナルは、ABCF2の異なる領域で受け取られることはわかったが、H_2O_2刺激を受け取る領域がまだ絞りきれていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
H_2O_2刺激によってABCF2を細胞質に留めるシグナルを受け取る領域の絞り込みを、欠損変異体(そのための発現ベクターは作成済み)を用いて早急に行い、その領域を欠失した変異体を発現した細胞におけるH_2O_2刺激後の細胞容積調節(AVD)を検討する。 ガン細胞におけるABCF2の変異に関しては、まずHeLa細胞を用いて検討を行う。
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