2011 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症モデルラットにおける亜硝酸塩による腎保護作用の検討
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22590241
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
土屋 浩一郎 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70301314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 俊晃 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80179879)
冨田 修平 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00263898)
石澤 啓介 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60398013)
濱野 修一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60530392)
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Keywords | 亜硝酸塩 / 硝酸塩 / 糸球体内皮細胞 / ラット / AMPK / STZ / MIN6細胞 |
Research Abstract |
1.腎糸球体内皮細胞(HGEC)を用いた亜硝酸塩による細胞内シグナル伝達の検討(2)前年度の検討で、HGEC細胞に対し亜硝酸塩を添加すると、添加10分で細胞増殖に関与しているAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)のリン酸化を促進し、その下流に位置するACCのリン酸化も促進した。そこで本年度はその機序の解明を行った。 当初、亜硝酸塩によるAMPKおよびACCリン酸化は亜硝酸塩から生成した一酸化窒素(NO)が活性本体と考えて実験を進めていたが、興味深いことに本活性はNO吸収剤であるcarboxy-PTIOを添加しても抑制されなかった。また、培養中に培地のpHが低下することによって亜硝酸塩が酸分解を受け、NOが生成する可能性も考え、培地のpHを微酸性にして実験を行ったが影響は見られなかった。これらの知見から、HGECに対するAMPKおよびACCのリン酸化は亜硝酸塩そのものの薬理作用ではないかと考えた。なお、硝酸塩で同様の実験を行った場合には、AMPKおよびACCのリン酸化は観察されなかった。 更に、HGEC細胞以外の細胞種についても同様に検討したところ、ラット肝癌細胞FaOでは、亜硝酸塩による効果は観察されず、亜硝酸塩の効果は細胞種依存性である可能性が示唆された。 2.膵β細胞の、STZ障害に対する亜硝酸塩の保護効果について 糖尿病性腎症モデル動物の作成にstreptozocin (STZ)を用いる際、STZによる膵β細胞障害に亜硝酸塩が影響を与えるか否かについてβ株化細胞であるMIN6細胞を用いて検討した。予め0-10mM亜硝酸を添加したNaMIN6細胞に10mM STZを添加し24時間インキュベート後に細胞生存率を検討した所、亜硝酸塩はSTZによる細胞障害をいずれの濃度も抑制しないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、亜硝酸塩による保護効果は、亜硝酸塩から生成した一酸化窒素(NO)によるものと考えて実験を行なっていたが、本年度の検討の結果、亜硝酸イオンそのものが活性本体であるという、新しい知見を見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は本研究の最終年度として亜硝酸塩そのものによる腎保護効果に焦点を当て、HGEC、メサンギウム細胞、近位尿細管上皮細胞に対し(1)亜硝酸塩による細胞内情報伝達系(増殖シグナル:BMK1、AMPK、PI3K/Akt)に与える影響の精査を中心に実験を行い、さらに並行して(2)窒素安定同位体の硝酸塩・亜硝酸塩を用い、糖尿病発症前後の動物における硝酸・亜硝酸動態の変化、および(3)高血糖状態が亜硝酸塩の薬効にどのような影響を与えるか、亜硝酸イオンの細胞内取り込みに関与すると言われている陰イオントランスポーターの発現・活性化について検討する。
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Research Products
(2 results)