2011 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック応答機構によるDNA損傷応答の制御機構-細胞のがん化と老化における役割
Project/Area Number |
22590264
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小田 司 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (10323643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 孝之 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (10166671)
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Keywords | DNA損傷 / 複製ストレス / 損傷乗越えDNA合成 / Y-family polymerases / HSP90 / HSF1 / p53 / 細胞老化 |
Research Abstract |
(1)HSP90複合体とユビキチン化によるY-Pol制御機構の解明 Y-PolはDNA損傷応答で誘導されるDNA合成の停止(複製ストレス)を再開させる損傷乗越えDNA合成に重要な働きをする。その過程において、Y-PolはDNAに変異を導入しやすいという性質を持つ。前年度までに、分子シャペロンHSP90が、Y-Polの一つREV1に特異的に結合し、その安定性やユビキチン化PCNAとの結合を制御し、REV1のDNA損傷部位への集積を制御することを明らかにした。本年度は、HSP90の機能を阻害すると、REV1誘導性の突然変異が抑制されることを明らかにした。この結果は、HSP90が、REV1の制御を介して、遺伝子の突然変異に関与することを示唆する。以上の結果をMol.Cell.Biol.で発表した。 (2)HSF1による細胞老化の制御 HSF 1の急性欠乏で誘導される細胞老化の分子機構を明らかにするため、テトラサイクリンでshHSF1を誘導するhTERT不死化ヒト線維芽細胞を作製した。この細胞をドキシサイクリン処理すると細胞老化が誘導される。この細胞を用いて解析をおこなったところ、p53-p21経路の活性化が細胞老化の誘導に必要であることが分かった。さらに、様々なHSF1変異体を用いたレスキュー実験により、HSF1の転写活性が無いと細胞老化が誘導されることが明らかになった。つまり非ストレス存在下のHSF1標的遺伝子が、細胞老化に関与していることが示唆された。そこで、マイクロアレイ解析により、HSF1抑制で変化する遺伝子の探索をおこなった。その結果、p53標的遺伝子や細胞老化に関連する分泌タンパク質遺伝子の誘導が見られた。一方、ストレス条件下ではHSF1の標的遺伝子となる熱ショックタンパク質遺伝子の誘導はほとんど見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)HSP90によるREV1の制御機構を解明し、論文発表した。 2)HSF1抑制による細胞老化の分子機構にp53-p21経路が重要であることを明らかにした。また、細胞老化関連分泌蛋白の発現機構における重要な知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果に基づき、引続き予定の研究計画を遂行する。バイオインフォーマティックスな手法が必要となる可能性があるので、その場合は専門の研究者と協力して研究を進める。
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Research Products
(5 results)