2012 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック応答機構によるDNA損傷応答の制御機構―細胞のがん化と老化における役割
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22590264
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小田 司 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (10323643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 孝之 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (10166671)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 細胞老化 / HSF1 / p53 / p21 / HSP |
Research Abstract |
熱ショック応答転写因子 HSF1は、熱ショックなどの様々な蛋白変性ストレスによって活性化され、分子シャペロン HSP72を始めとする熱ショック蛋白の発現誘導を調節する転写因子として同定された。近年、HSF1は熱ショック応答とは異なる遺伝子群の転写を制御し、腫瘍形成に重要な役割を果たしていることが報告されている。さらに、HSF1の生物学的機能として、ショウジョウバエや線虫の寿命を制御する役割も明らかにされている。 我々は、HSF1に対するshRNA (shHSF1)を導入すると、正常ヒト線維芽細胞において細胞老化を誘導することを見いだした。さらに、ドキシサイクリン誘導性shHSF1を発現する不死化ヒト線維芽細胞 (OUMS/Tet-on shHSF1) を用いて、1)HSF1の転写機能 2)p53-p21経路の活性化 が細胞老化誘導に重要であることを明らかにした。しかし、その分子機構は明らかではない。本年度は、1)HSF1発現の抑制により、p53 mRNAやp53のリン酸化等はほとんど変化しない 2)一方、p53のポリユビキチン化は減少し、その安定性が高まる 3)HSF1抑制による遺伝子発現変化をマイクロアレイで解析したところ、p53ユビキチンリガーゼであるMDM2に結合し、その活性を阻害するDehydrogenase/reductase (SDR family) member 2 (DHRS2)の発現が増加する 4)DHRS2 RNAiにより、HSF1抑制による細胞老化が部分的に抑制される ことを明らかにした。 以上の結果は、HSF1抑制で発現誘導されるDHRS2がMDM2を阻害することによりp53を安定化し、細胞老化を誘導する分子機構を示唆する。また、個体老化におけるHSF1の役割や、がん治療標的分子としてのHSF1に新たな観点を与える。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)