2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウスES細胞の分化に必須であるメチル化DNA結合タンパク質CIBZの機能解析
Project/Area Number |
22590272
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
松田 永照 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (00335481)
|
Keywords | ES細胞 / DNAメチル化 / 細胞分化 / 細胞死 / 転写制御 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
胚性幹(ES)の分化や細胞増殖の制御機構を解明することが再生治療への理解や応用に非常に重要である。DNAメチル化酵素はES細胞の分化および初期胚発生に必須であることが明らかにされ、メチル化されたDNAに結合するタンパク質も同様に重要であることが推測された。ところが、既知のメチル化DNA結合タンパク質群はES細胞の分化に必須でないということが分かった。本研究では、ES細胞の分化に必須である新規メチル化DNA結合タンパク質CIBZのES細胞への分化制御機構の解明を目指す。 まず、CIBZの欠損によるDNAメチル化への影響を調べた。その結果、CIBZが欠損しても、ES細胞の分化に必須であるDNAメチル化酵素Dnmt1の発現および局在、ES細胞のゲノムワイドなDNAメチル化状態に影響はなかった。次に、CIBZがES細胞の分化・細胞死に関わる標的遺伝子発現のスクリーニングを試みた。その結果、CIBZの欠損はES細胞の未分化マーカーであるOct3/4やNanog遺伝子、細胞死を直接に"負"に制御する遺伝子(Bcl-2など)や"正"に制御する遺伝子(Baxなど)、カスパーゼを直接阻害するIAP遺伝子(XIARなど)の発現変化への影響も検出されなかった。しかし一方で、CIBZが欠損したES細胞と野生型を分化誘導前後と比較した場合、IAPを抑制するタンパク質をコードする遺伝子や中胚葉マーカー遺伝子の発現変化に差は明らかであった。さらに、CIBZを欠損したES細胞は野性型と同様に未分化性に大きな変化はないが、細胞を培養し続けると細胞数の経時的な減少という興味深い現象が確認された。今後、CIBZの欠損によるES細胞数を制御するメカニズム(増殖・細胞死)も明らかにする必要がある。
|