2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規アポトーシス制御分子ヌクリングの炎症性及び腫瘍性疾患発症への作用機序の解明
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22590286
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
坂井 隆志 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 准教授 (80284321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 清 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 教授 (00175564)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | NF-κB / Nucling / 肝炎・肝癌 / アポトーシス |
Research Abstract |
ヌクリングノックアウト(KO)マウスにおける肝炎・肝癌の自然発症率上昇の背景にNF-κBシグナルの活性化異常が疑われた。そこで、前年度までの研究期間に於いて、我々は実際にNF-κBの異常活性化をヌクリングKOマウス由来の細胞や組織で確認し、更にこの異常に関連して、同KOマウスでは肝炎・肝癌発症率の上昇をはじめとする種々の炎症性疾患を呈することを明らかとした。最終年度の成果:そこでこのようなNF-κBの異常が本当に生理的異常を引き起こしうるのかどうかを検討することにした。リポポリサッカライド(LPS)は生体内に進入するとToll様受容体(TLR4)を介してNF-κBを活性化し種々の生理活性物質産生を誘導することにより生体内に多大な影響を及ぼすことが知られていることから、この系をヌクリングKOマウスに導入することにした。野生型マウスで100%死に至らしめるに十分な量を同KOマウスに腹腔投与したところ、致死率数%という高い耐性を示した。LPSによって誘導されるサイトカインの標的臓器である肝臓に於いて、アポトーシス細胞死の有意な低下が野生型に比較して認められた。また分子レベルで検討したところ、同KOマウスではNF-κBによって制御されている抗アポトーシス分子(cIAP1/2)の増加や、アポトーシス誘導分子Apaf1の減少などが確認された。以上より、ヌクリングの遺伝子欠失はNF-κB活性化異常に伴うアポトーシス経路の異常を誘導し、その結果として細胞障害性ストレスに対して抵抗性を獲得していることが明らかとなった。これが肝炎・肝癌発症率の上昇をもたらしている一因であることが強く示唆された。以上の成果は肝炎・肝癌発症機構の解明及び新規治療戦略への発展に結びつくことが期待されるため、これをまとめ、報告した(J. Biochem. 2013; 153 (1): 93-101など)。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)