2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓免疫系細胞のビタミンD受容体による炎症及び代謝の調節機構
Project/Area Number |
22590294
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
槇島 誠 日本大学, 医学部, 教授 (70346146)
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Keywords | ビタミンD受容体 / 胆汁鬱滞 / ビリルビン / 炎症 / インターロイキン6 |
Research Abstract |
肝障害モデルマウスにおけるVDR欠損の影響を明らかにするために、VDR欠損マウスに総胆管結紮(BDL)を行い、血液生化学(血漿トランスアミナーゼ、ビリルビン、胆汁酸)、ELISAによる血漿炎症性サイトカインの定量、肝臓及びVDR発現臓器における胆汁酸関連遺伝子、サイトカインなどの炎症関連遺伝子の発現の解析を行った。BDLのコントロールは、開腹手術のみとした。野生型とVDR欠損マウスにそれぞれの手術操作を行い、計4群の比較を行った。 1.BDLによって上昇する血漿ビリルビンは、野生型マウスよりもVDR欠損マウスの方が高値であった。直接ビリルビンがほとんどであった。野生型マウスに比較して、VDR欠損マウスでは、腎臓における生体異物排出担体MRP3の遺伝子発現が低下していた。MRP3は、肝臓におけるビリルビン排泄に関与すると報告されており、VDR欠損マウスの腎臓MRP3の発現低下が、血液中に蓄積した直接ビリルビンの尿中排泄障害を誘導すると示唆された。 2.BDLは、小腸粘膜のIL-6のmRNA発現を誘導した。興味深いことに、VDR欠損マウスでは、このBDLによるIL-6発現上昇が見られなかった。血漿IL-6タンパク量も同様の変化であった。TNFαのmRNAは、VDR欠損マウスで若干低下したが、INFγの変化は無かった。肝臓でのサイトカインの発現変化は、ほとんどなかった。BDLにより、腸管への胆汁分泌が障害され、腸内細菌の異常増殖が起こると言われている。腸管-門脈-肝臓経路での炎症応答にVDRが関与していることを示唆しており、現在解析を進めている。
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