2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓免疫系細胞のビタミンD受容体による炎症及び代謝の調節機構
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22590294
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
槇島 誠 日本大学, 医学部, 教授 (70346146)
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Keywords | ビタミンD受容体 / 胆汁鬱滞 / ビリルビン / 炎症 / インターロイキン6 / マクロファージ |
Research Abstract |
1.肝障害モデルマウスの病態におけるVDRの役割を明らかにするため、VDR欠損マウスに総胆管結紮(BDL)を行い、野生型マウス及び開腹手術のみのコントロールを比較検討した。昨年度の研究で、BDLは野生型マウスにおいて血清IL-6濃度及び小腸IL-6遺伝子発現を増加させるが、VDR欠損マウスではこれらの増加が起こらないことを見いだした。解析を続けた結果、VDR欠損マウスからの単離マクロファージにおけるIL-6発現は、LPS刺激の有無にかかわらず亢進していること、VDR欠損マウスの小腸においてIL-6発現誘導性転写因子NK-κBを抑制するIkBαのタンパク発現が亢進していることを見いだした。VDR欠損マウスの腸管におけるIL-6の発現は、IkBαの発現増加などの代償的な制御機構により調節されており、BDLによる影響を受けにくくなっていることを示唆している。 2.肝臓免疫系細胞の単離及び分析の予備実験を行った。マウス肝臓より単離したマクロファージの培養系において、活性型ビタミンD3はVDR標的遺伝子CYP24A1の発現を誘導した。一方、マウスに活性型ビタミンD3を投与した場合は、腎臓CYP24A1の発現は増加したが、肝臓組織及び肝臓由来単離マクロファージでのCYP24A1の発現増加は認めなかった。肝臓マクロファージのビタミンD応答性がin vivoとin vitroでは異なるということは、肝臓マクロファージと肝細胞などの周辺の細胞・組織との相互作用の存在を示唆している。次年度は、病態モデルにおいて、VDR欠損マウスと野生型マウスとの比較解析を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BDLにおける小腸のIL-6発現に関する結果が予想外であったため、メカニズムの解明にあたり、VDR欠損マウスの調製と解析に時間がかかった。しかし、実績欄に記載した通りの結果を得ることができ、現在論文準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、BDL以外の肝障害マウスモデルにおけるビタミンD投与の炎症及び代謝に対する影響とVDR欠損マウスにおける肝臓免疫系細胞の解析を中心に研究を行う予定である。
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