2011 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓におけるビタミンDの新規標的遺伝子の同定と発現調節分子機構の解明
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22590295
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
崔 美花 日本大学, 医学部, 助教 (30571012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 寿光 日本大学, 医学部, 教授 (60361086)
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Keywords | 核内受容体 / ビタミンD受容体 / 標的遺伝子 / 膵臓 / 転写因子 / 組織特異的 / ペプチドホルモン |
Research Abstract |
私達は膵臓におけるビタミンDの標的遺伝子のスクリーニングを行い、膵臓のpeptide YY(PYY)の遺伝子発現及びPYYの血中濃度がビタミンD処理で上昇することを見出した。そこで、私達は次に膵臓のビタミンDターゲットとなる細胞の解析と標的遺伝子の同定を試みた。 ビタミンDターゲットとなる細胞(内分泌細胞及び外分泌細胞)の解析 1)膵外分泌細胞株であるPanc-1、膵内分泌細胞株であるMIN-6とTC-1細胞を用いて、ビタミンDによるPYYの発現変化をリアルタイムPCRで調べた結果、ビタミンD処理により、膵内分泌細胞株であるMIN-6とTC-1細胞のPYY発現がビタミンD濃度依存的・時間依存的に増加したが、膵外分泌細胞株Panc-1のPYY発現は全く変化しなかった。2)PYYの膵臓における局在及びビタミンDによる発現変化を組織免疫染色法で調べた。PYYは、膵臓の内分泌、ランゲルハンス島の淵に局在しており、その発現がビタミンDにより顕著に上昇した。これらの結果は、膵臓の内分泌細胞がビタミンDのターゲット細胞で、膵臓PYYの転写誘導を引き起こすことを示唆すると考えられる。 膵臓におけるビタミンDの新規標的遺伝子の同定 1)ビタミンDによるPYYの転写誘導を詳細に解析するため、クロマチン免疫沈降アッセイを行った。MIN-6細胞にビタミンDを処理し、PYYプロモータ領域へのビタミンD受容体(VDR)の結合能を調べた結果、PYYプロモータ領域-813/-753を含む領域へのVDRの結合能がビタミンD依存的に増えた。2)次にPYYプロモータ領域をpGL3-ルシフェラーゼレポーターに組み込み、HEK293細胞に導入し、ビタミンDによるVDRの転写活性化能を調べた。-1410/-10,-1090/-10,-850/-10を含むレポーターのVDR転写活性化能はビタミンD依存的に上昇したが-750/-10,-470/-10及び-767/-753変異レポーターのVDR転写活性化能は全く変化を見せなかった。3)ゲルシフトアッセイを行い、PYYの-767/-753がビタミンD応答性配列であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、PYYがビタミンDの膵臓特異的標的遺伝子であることを明らかにして、論文投稿中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ビタミンDによって膵臓において特異的に誘導されるPYYの生理学的機能を詳細に調べる。siRNA系を利用しビタミンD標的遺伝子であるPYYの欠損による影響を調べる。
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