2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590331
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
梅津 哉 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (50251799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 眞 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30045786)
長谷川 剛 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90251800)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / マクロファージ / 好中球 / 特殊顆粒 / PTX3 |
Research Abstract |
HNF-4α(hepatoqyte nucler factor-4α)は核内受容体の一つで、内胚葉形成や肝細胞の分化に重要な転写因子である。一方、TTF-1(thyroid transcription factor-1)は核内転写因子であり、甲状腺や肺などに発現し、肺癌にも高発現することから病理診断に利用されている。しかし、TTF-1陰性肺癌の検討は少ない。今年度はTTF-1陰性肺腺癌の免疫組織化学的検討を行い、HNF4αと粕液形質の発現を比較検討した。 肺腺癌262例をWHO分類(2004)に準じて組織分類し、異なったアイソフォームを認識する抗HNF4α抗体と、TTF-1、粘液形質のMUC5ACとMUC2(それぞれ胃粘膜上皮、腸粘膜上皮に発現)に対する抗体を用いて免疫染色を施行した。また、TTF-1陽性例、陰性例の凍結組織からmRNAを抽出し、RT-PCRを施行した。 免疫染色の結果、肺腺癌におけるTTF-1の発現は222例(84.7%)と高率であった。これに対し、TTF-1陰性肺腺癌は40例(15.3%)で、その多くは粘液産生性肺腺癌であり、HNF4αとMUC5ACの発現が高率に認められた。統計学的に肺腺癌でのTTF-1とHNF4α、TTF-1とMUC5ACの発現は逆相関を示した。RT-PCRでも、TTF-1とHNF4αのmRNA発現は負の相関関係にあった。HNF4αは二つのisoformに分けられ、Plisoformは主として腸粘膜上皮に、P2 isoformは胃粘膜上皮に発現する。HNF4α陽性例はすべてP2 isoformを発現していたことから、TTF-1陰性・HNF4α陽性・MUC5AC陽性の肺腺癌は胃上皮に類似していることが示唆された。 本研究は、肺腺癌がTTF-1陽性・HNF4α陰性群とTTF-1陰性・HNF4α陽性群に大別されることを明らかにした。肺腺癌が2つの転写因子と胃型粘液形質の発現の有無によって2分されることを見出した。なお、現在、肝癌およびEBV関連胃癌におけるHNF4αの発現を検討中である。
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Research Products
(4 results)