2010 Fiscal Year Annual Research Report
血漿S19リボソームタンパク質の細胞性免疫反応における役割
Project/Area Number |
22590348
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
千場 梅子 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (50109691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲郎 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (60112405)
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Keywords | 蛋白質 / RP S19 / 生体防御 |
Research Abstract |
この研究は、結核感染防御において、血管外へ透過した血漿S19リボソームタンパク質(RPSI9)が結核菌膜上で架橋二量体化され、単球/マクロファージを動員し菌を貧食処理させるとともに、結核菌に対する細胞性免疫能を獲得させるのではないかという仮説を検証することを目的とする。 平成22年度は下記の点を明らかにするために、in vitroの実験を行った。 (1)乏血小板血漿において、結核菌が存在したとき内因性凝固反応は引き起こされるか? (2)凝固反応後得られた血清は単球遊走能を有するか? (3)単球走化活性は抗RP SI9抗体により抑制されるか? (4)(3)の単球走化活性は、C5aリセプターを介した反応であるか? (5)血液凝固第XIII因子は関与しているか? 結核菌(青山株)死菌を乏血小板血漿に曝すと、結核菌懸濁液の濃度依存性に凝固時間の短縮が認められた。このことから、結核菌膜上の負荷電領域との接触により、血漿の内因系凝固カスケードが活性化されることが示唆された。得られた血清には単球走化活性が認められ、抗RP S19抗体により抑制された。またC5aRアンタゴニストにより走化活性は抑制されたことから、C5aリセプターを介した反応であることが判明した。XIII因子欠損血漿において単球走化活性は認められなかったが、FXIIIを添加して正常血漿を再構築すると走化活性は回復した。活性型XIII因子(XIIIa)の阻害剤であるp-chloromercuriphenylsulfonic acid (PCMPS)を共存させると単球走化活性が抑制された。すなわち、血液凝固反応に伴い、血漿中のRP S19が結核菌膜上の負荷電領域を足場にして血漿トランスグルタミナーゼ(FXIIIa)により架橋二量体化され、C5aリセプターを介して単球/マクロファージを動員することが予想された。
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Research Products
(3 results)