2011 Fiscal Year Annual Research Report
血漿S19リボソームタンパク質の細胞性免疫反応における役割
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22590348
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
千場 梅子 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (50109691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲郎 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (60112405)
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Keywords | 蛋白質 / RP S19 / 生体防御 |
Research Abstract |
この研究は、結核感染防御において、血管外へ透過した血漿S19リボソームタンパク質(RP S19)が結核菌膜上の負荷電領域で血漿トランスグルタミナーゼ(FXIIIa)により架橋二量体化され、単球/マクロファージを動員し菌を貪食処理させるとともに、結核菌に対する細胞性免疫能を獲得させるのではないかという仮説を検証することを目的とする。平成23年度は下記の点について検討を行った。 【RP S19架橋化二量体の生成および単球/マクロファージ遊走機構の確認】 結核菌(青山株)死菌を乏血小板血漿に曝したとき、血液凝固反応後の上清(血清)中にRP S19架橋化二量体が生成されることを、ウェスタンブロッティングにより確認した。pH7.4の生理的条件下、結核菌を超音波処理して負の荷電を増加させると、未処理の場合に比し血漿の凝固時間の短縮が認められ、血清中のRP S19架橋化二量体の生成も増加した。正の荷電体であるGlucosamine (GlcN)を共存させると、GlcNの濃度依存性に単球走化活性が抑制された。FXIII欠損血漿では血清化後の走化活性は減弱し、FXIIIを添加して正常血漿を再構築すると上昇した。以上のことから、血漿中のRP S19が結核菌膜上の負荷電領域で、血液凝固反応に伴いFXIIIaにより架橋二量体化され、単球を動員することが明らかとなった。 【単球走化誘導への補体系の関与についての検討】 (1)好中球走化活性:結核菌存在下、好中球の走化活性が出現した。FXIIIの関与は認められなかった。 この活性はC5aリセプターアンタゴニストにより抑制された。(2)C5aの不活化:FXIII欠損血漿では、carboxypeptidase B (CPB)処理によりC5aを不活化すると単球走化活性は消失した。FXIIIを添加して正常血漿を再構築すると走化活性は上昇したが、CPB処理により抑制された。(3)補体系および血液凝固系のブロック:予め56℃、30分処理して補体系を壊したFXIII欠損血漿を用いたとき、結核菌による単球走化活性は殆ど消失した。以上のことから、結核菌により誘導される単球走化活性には補体系も関わっていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
病気にて入院し手術を受け、術後も加療が続いているため、計画通りに進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
補体系の単球走化誘導への関与について確認するため、3つの補体活性化経路すべてに共通するC3を吸収させる抗ヒトC3抗体ビーズを作成する。乏血小板血漿を予め抗ヒトC3抗体ビーズで処理し、血清化後の単球走化活性がどの程度抑制されるか検討する。我々の研究室では、架橋化二量体の生成ができないGlnI37Asn-RP S19変異体遺伝子導入マウスを作成した。そのマウスの血漿を用いて結核菌により凝固反応が起こるかどうか、血清中にRP S19架橋化二量体が出現するかどうかを検討する。In vivoの実験では、ツベルクリン反応を行うことにより、結核菌に対する細胞性免疫能の獲得に差異があるかどうかを検討する。
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Research Products
(2 results)