2010 Fiscal Year Annual Research Report
大腸及び膵臓発がんにおけるオステオポンチンとそのがん特異的分子の生理的役割の解析
Project/Area Number |
22590371
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
高橋 真美 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (90214973)
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Keywords | オステオポンチン / 膵臓がん / 大腸がん / スプライスバリアント / バイオマーカー |
Research Abstract |
本研究では、大腸及び膵臓発がん過程におけるオステオポンチン(OPN)及びスプライスバリアントの発現を動物モデルを用いて調べ、その役割について検討する。本年度は、膵臓発がんにおけるOPNa及びOPNcの発現をハムスターのBOP誘発化学発がんモデルと遺伝子改変マウスモデルを用いて解析した。 膵臓組織におけるOPN遺伝子発現を解析した結果、BOP非投与ハムスターの正常膵臓でも、OPNaの発現は認められるが、BOP投与群の非がん部膵臓組織ではその発現が上昇し、がん組織では顕著な発現上昇が見られた。一方、OPNcは、がん組織でのみ発現が認められた。マウスモデルでは、正常コントロールマウスの膵臓におけるOPNaの発現に比べ、膵臓に病変のあるK-ras変異体発現マウスで顕著な上昇が見られた。また、OPNcの発現はK-ras変異体発現マウスでのみ認められた。 免疫染色によるOPN蛋白質発現解析の結果、正常膵臓でも腺房細胞全体に低レベルの発現が見られ、ハムスターでは腺房細胞やランゲルハンス島でやや高い発現が見られた。がん組織では、がん細胞および間質の線維芽細胞で発現しており、マクロファージで強い発現が認められた。マウスの正常膵臓では腺房細胞での弱い発現に加え、腺房中心細胞や介在部、小葉内導管で強い発現が認められた。K-ras変異体発現マウスでは、腺房細胞がダクトに化生を起こす時に発現が高まり、PanIN-1や2のレベルのmucinousなダクトではいったん発現が低下した。そしてさらに異型度が増してPanIN3になると再度発現が上昇する様子が観察された。現在、スプライスバリアント特異的抗体を作成中であり、今後、組織中でOPNcを発現している細胞の同定を行なう予定である。
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Research Products
(2 results)