2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590396
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
仲宗根 昇 琉球大学, 医学研究科, 助教 (80175497)
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Keywords | コレラ菌 / ヘモリジン / NLRP3 / MyD88/Trif |
Research Abstract |
本研究の目的は、コレラ菌培養上清にあるMyD88/Trif非依存性にNLRP3を活性化する因子を同定し、その活性化機構を解明することにある。これまでMyD88/Trifダブルノックアウトマウスの骨髄由来マクロファージを使い、MyD88/Trif非依存性のNLRP3活性化にコレラ菌の細胞性の毒であるRtxAと溶血毒であるHlyAの内、HlyAが重要であることを明らかにしてきた。しかし同じVibrio属であり、同じ毒素構成をしているバルニフィカスではそのような現象は見られない。実験計画に従いバルニフィカスのRtxAとhemolysinであるVvhAのダブル欠損変異株にコレラ菌のHlyAを発現させ、コレラ菌と類似した現象が見られるか検討した。エレクトロポレーション法、Ca法などでトランスフォメーションを幾度となく試みたが、バルニフィカスにコレラ菌のHlyAを導入することはできなかった。おそらくバルニフィカスが好塩性でコレラ菌がそうではないことに何らかの原因があるのではないかと思われる。コレラ菌の野生株から精製したHlyAと組換えHlyAの活性の比較を行ったが、両者に有意な差はなかった。 次にコレラ菌独自のHlyAによる活性化を確認するため、黄色ブドウ球菌α溶血毒、肺炎球菌ニューモリジン、Listeria monocytogenesリステリアリジンの組換え蛋白質を作成し検討した。組換え体の溶血活性は、野生株のものと比べ極めて弱かった。この製品を、MyD88(-/-)/Trif(-/-)ダブルノックアウトマウスの骨髄由来マクロファージと反応させ、IL-1βの産生とcaspase 1の活性化の有無を調べた。この場合でもやはりコレラ菌のようなNLRP3の活性化は見られなかった。これは溶血活性が弱いためなのか検証する必要があるが、活性がコレラ菌溶血毒と同程度の量を用いても観察できなかったことから、MyD88/Trif非依存性のNLRP3活性化はコレラ菌独特のものと推測される。だとすればバルニフィカスのRtxA/vvhAダブル欠損変異株や、今回用いた菌の溶血毒にコレラ菌の溶血毒を添加することによりMyD88/Trif非依存性のNLRP3活性が見られる可能性がある。現在これを確認するための実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究費申請時に提出した実験目標に基づいた研究計画に照らし、概してその通りに進んでいる。RtxAを欠損するコレラ菌培養上清からHlyAを精製し得たし、大腸菌にも組み込みこれを精製した。バルニフィカスにコレラ菌のHlyAを発現させることはできなかったが、研究の目的から見て、このことは実験の進行を妨げない。
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Strategy for Future Research Activity |
コレラ菌の溶血毒にさらに焦点をあわせ、溶血毒の特性と細胞内シグナル伝達の特殊性を明らかにする方向へ進む予定である。研究計画についての大きな変更点はまだないが、研究を遂行する上でさらに新たな実験手技と知識を必要とする場合が想定される。その場合これに関連する情報を学術論文やインターネットから収集したり、研究者が所属している機関で専門的に扱っている研究者に相談したり、技術指導を仰ぐことで対応する。
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Research Products
(3 results)