2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体肝移植ドナーの心理的問題についてのインタビュー調査
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22590455
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 みさお 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50396701)
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Keywords | 生体臓器移植 / ドナー / 術後 / 質的研究 / 心理社会的問題 |
Research Abstract |
世界的に類稀な発展を遂げた日本の生体肝移植は、退院後のドナーのフォロー・アップを視野に新たな局面を迎えつつある。だが、そうした体制を充実させるためには、臓器提供を決意してから入院し、退院、そして通常の生活へ戻っていくまでのドナーの心理・社会的ニーズの詳細について明らかにすることが必要である。しかし、ドナーの心理・社会的側面に関する研究は、その身体的側面に関する研究に比べて数が少ないのが現状である。そこで本研究では、生体肝移植ドナーが臓器提供を決意し、入院から退院に至る心理状態の変化について検討・考察することを目的とする。H23年度は、生体肝移植ドナーの術前・術後、退院後の心理状態に関するインタビュー調査を中心に、生体肝移植ドナーの(1)入院から退院に至るまでの心理状態の変化(特に術後)や(2)退院後の心理状態やニーズの変化について、国内外の研究報告のレビューを継続した。このほか、潜在的にドナーとなりうる一般成人を対象に、ドナーとして適切な適応範囲(レシピトとの関係性:配偶者、子、親戚、知人等)に関する質問紙調査を実施し、データの収集までを行った。また、昨年度の資料・情報収集と文献レビューに基づき、当該テーマの関連領域として近年注目されていることが判明した「渡航医療(移植を含む)」「再生医療(特に幹細胞治療)」の問題について、論文を執筆、出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の生体肝移植ドナーに対するインタビュー調査には至れていないが、同様の研究に関する文献レビューや、潜在的ドナーである一般成人への質問紙調査の実施、関連領域である「渡航医療(移植を含む)」「再生医療(特に幹細胞治療)」に関する論文の執筆、出版ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
生体肝移植ドナーの心理状態に関するインタビュー調査を中心に国内外の文献レビューを行ってきたが、実際のインタビュー調査に至れない場合には、申請者の先行研究ですでに収集しているドナーインタビューのデータを質的に分析するか、近年体系的な文献レビュー手法として注目されている、Pope C,at al."Synthesizing qualitative and quantitative health evidence: a guide to methods"(2007)、Paterson BL,et al. "Meta-study of qualitative and quantitative health research: apractical guide to meta-analysis and meta-synthesis"(2001)等を参考に、これまで行ってきた文献レビューの結果を分析・統合する予定である。一般成人を対象にした意識調査のデータ分析や、「渡航医療(移植を含む)」「再生医療(特に幹細胞治療)」に関する文献調査も継続する。
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Research Products
(3 results)