2011 Fiscal Year Annual Research Report
新型インフルエンザに続発する市中感染型MRSA感染症の病態解析と治療戦略
Project/Area Number |
22590514
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高山 陽子 北里大学, 医学部, 講師 (80286278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 寿一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (20374944)
新井 和明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 研究補佐 (30547386)
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Keywords | 新型インフルエンザ / MRSA / 細胞侵入性 / 細胞接着能 |
Research Abstract |
2009年に新型インフルエンザH1N1(以下H1N1)感染事例が確認されて以降、感染は急速に世界甲に拡大した。過去の新型インフルエンザでは、死亡原因の大多数をインフルエンザ感染に続発する肺炎球菌性肺炎が占めたとの報告がある。季節性インフルエンザやH1N1においては肺炎球菌以外の細菌で細胞接着性や侵入性を検討した報告は少ない。本研究では、深刻な市中肺炎や敗血症に関連し、PVL(Panton-Valentine Leucocidin)を産生することで注目された市中感染型MRSA(community acquired methicillin resistant Staphylococcus aureus : CA-MRSA)の細胞侵入性について着目した。菌株は、USA300(CA-MRSA)、ATCC 29213(methicillin sensitive Staphylococcus aureus : MSSA)、陽性コントロールPseudomonus aeruginosa PAO1、陰性コントロールEscherichia coli RDEC-1を使用し、MDCK細胞(イヌ腎臓細胞由来)を選択した。今回、侵入率を確認する上で、ウイルスと菌の侵入率が最も高くなる条件設定を検証した。方法は、細胞培養用24穴マイクロプレートに、ウシ胎児血清加Minimum Essential Mediumを用いて細胞培養を行い、モノレイヤーを形成させた。各菌を3時間感染させた後にgentamicin(200μg/ml)で2時間処理し、非侵入菌を殺菌した。1%Triton-Xで細胞処理後、寒天培地上にコンラージをして細胞内侵入菌をカウントし、細胞内侵入菌を定量した(gentamicin killing assay)。さらにMDCK細胞をフィルターチャンバー上でモノレイヤーを作成し、細胞内侵入性を評価した。ウイルスのMOI(multiplicity of infection)を検討した結果、MOI 0.01、0.001、0.1、1の順に高率であった。H1N1に続発する肺炎の条件を検討する上で重要な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年7月29日付の「平成23年度科学研究費助成事業」交付決定通知書より、平成23年3月11日に発生した東日本大震災に対する緊急財源確保のため、助成金の減額交付の可能性がある旨の通達があった。そのため、当初は本年度研究計画に沿って研究を進めていたが、研究計画を一部見直しした。細胞侵入性の再現性の検証に重点を置いていることとあわせて、結果として研究の進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、細胞侵入性の再現性を確認した上で、USA300(CA-MRSA)、Pseudomonus aeruginosa PAO1、Escherichia coli RDEC-1をはじめ、ATCC株各種との比較検討を行う予定である。
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