2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヨルダン南部定住ベドウィンの人口再生産・生産/消費・健康に関する調査研究
Project/Area Number |
22590616
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
末吉 秀二 吉備国際大学, 社会学部, 准教授 (80330629)
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Keywords | 人類生態学 / 家系人口学 / 健康科学 / 定住化 / ヨルダン |
Research Abstract |
本研究は、ミクロ人口学の視点からアラブ系遊牧民(ベドウィン)の定住過程における人口再生産メカニズムと健康問題を明らかにすることが目的である。本年度は、ヨルダン・南ゴール郡・アルーサフィ村に定住したベドウィンを含む12クランのうちの2クラン(Al-AshushuおよびAl-Bawart)を対象に、平成22年8月1日から24日および平成23年2月1日から28日の期間に聞き取り調査を行い家系図を作成した。 家系図作成の前段階として、首都アンマンの市民旅券局から出生・死亡・婚姻暦に関する原データを入手した。また、各調査開始前に対象者の同意・協力を確実にするために説明会を開催した。 聞き取り調査の流れは以下のとおりである。 (1) 原データにもとづき世帯主の関係を高齢者順に確認するとともに原データにない死亡者を同定 (2) 原データにない転出者(多くは女性の婚姻による転出)の同定 (3) 原データの世帯構成員の確認および欠落データの追加 (4)死亡者の出生/死亡年の確認 Al-AshushuクランとAl-BawartクランのN数および世帯数は、それぞれ4840および941、2770および512であり、調査開始前に予想したN数(約2000)を大きく上回ったが、Al-Ashushuクランは(2)段階まで、Al-Bawartクランは(3)段階まで終了した。 Al-Bawartクランの婚姻による転入/転出者数および性比の分析から、約100名程度の女性のデータの欠落が推定された。今後、市民旅券局で管理する過去のデータおよびヨルダン大学でアーカイブス化した記録資料と照合しながら死亡者データの信頼性を高めていく考えである。 本年度の研究成果は、聞き取り調査(記憶)と市民旅券局のデータ(記録)から大規模な家系図を復元したことだが、この家系図は来年度以降の生産/消費・健康に関する調査の基礎資料ともなる。
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