2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNAチップを用いた体液・感染症の迅速診断法の開発
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22590641
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
池谷 博 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (30292874)
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Keywords | DNAチップ / 感染症 / 体液識別法 / 血液型 |
Research Abstract |
本研究は、DNAチップを用いた体液.感染症の迅速診断法の開発を目的とするものである。 本年度行った研究内容は以下の通りである。 すでに前年度までに開発を終わっているヒト特異的遺伝子およびABO式血液型遺伝子を判定するDNAチップに、HBV、HCVの2種類の感染症を判定するプローブを追加し、各感染症の陽性の体液検体を用いて、感染症ゲノムを増幅させ、作成したDNAチップと反応させることによって、血液型の鑑別とともに2種類の感染症が正確に判定できるかどうかを検討し、ウイルスの有無の判定が可能であった事を確認した。しかしながら、ウイルスのゲノム型の判定において誤判定が生じた。さらに、ABO式血液型遺伝子の感度にも影響したため、ABO式血液型遺伝子判定のDNAの長さをウイルスゲノムの増幅断片の長さに合わせ、相互がバランスよくプローブに反応できるように反応条件を調整した。この結果ABO式血液型遺伝子判定の感度が向上したため、これをJ.Forensic Sci.に報告した。 また、体液が斑痕の状態になった場合、および体液が液体のまま死後相当時間経過した場合であっても、体液の識別や感染症の判定が正確に検出できるかどうかを、C型肝炎ウイルス陽性の乾燥血液および血痕ならびに実際のC型肝炎ウイルスに感染した遺体からウイルスを検出することにより検討した。その結果、死後60日経過したものであっても感染性が高度に疑われる事を確認した。これらの成果をJ.Clin.Microbiol.に報告した。 さらに、各種体液に特異的な新たな指標となるmRNAを見つけるため、精液と膣液を用いて、total RNAを抽出し、cDNAのゲノムプロファイリングを試みた。これにより、精液と膣液特異的なspiddosが認められたため、特異的mRNAの存在が疑われた。これをLeg.Med.に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血液型・感染症判定チップ開発は順調に進んでおり、一部は最終段階にあり、各種反応条件の調整を行っている。体液の特異的なmRNAは報告が非常に少ないが、工学の分野で開発された方法であるゲノムプロファイリング法を新たに導入し、精液および膣液における特異的なmRNAの発現が有ることを確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
血液型・感染症チップ判定チップについて、反応条件の調整を行うとともに、産業財産権等の出願を検討する。 解剖や、事件現場で問題となっている慰留血液等に含まれるウイルスの感染性を培養細胞を用いて検討する。 体液の種類を増やし、特異的なmRNAの発現を確認する。さらにこれらのmRNAのcDNAに対するプローブを作成し、体液種がDNAチップでの判定が可能であるか検討する。
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Research Products
(4 results)