2010 Fiscal Year Annual Research Report
慢性炎症性気道疾患の難治化におけるキチナーゼ関連蛋白質の作用機序の解明
Project/Area Number |
22590839
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 久子 京都大学, 医学研究科, 助教 (60359809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 豊 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10441247)
越久 仁敬 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20252512)
伊藤 穣 京都大学, 医学研究科, 助教 (80362482)
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Keywords | 慢性炎症性気道疾患 / アレルギー・喘息 / キチナーゼ関連蛋白質 / YKL-40 / ステロイド低感受性 / 気道過分泌 / 加齢 |
Research Abstract |
慢性炎症性気道疾患の難治化におけるキチナーゼ関連蛋白質YKL40の関与について、平成22年度には(1)上皮細胞における喀痰産生調節におけるYKL40の生理的・病態分子的役割を評価した。まず臨床検体である喘息患者の誘発喀痰上清において、MUC5AC濃度とYKL40濃度が有意な正の相関をとることを見出した。次にYKL40存在下の気道上皮細胞におけるムチン産生能について解析したところ元々粘液産生能の弱い上皮細胞系のBEAS-2B細胞ではYKL40の長期存在下で、MUC5AC発現が亢進する傾向を示した。一方粘液産生能の高いCalu3細胞ではYKL40刺激による影響は乏しかった。次にYKL40産生・分泌機構を明らかにすべく(2)気道上皮・平滑筋細胞においてYKL40発現を促進する因子を検討したところ、TNF-α刺激により濃度依存性に気道上皮・平滑筋細胞でのYKL40発現亢進を認めた。また上皮系細胞において、Ca2+,ATP依存性にYKL40が分泌される現象を認めている。関連した臨床検体の検討では、有症状期の高齢喘息患者において、血清YKL40濃度高値が不可逆性気流閉塞の唯一の指標となること、血清TNF-α濃度高値と可逆性の気流閉塞が血清YKL40濃度上昇に寄与することを見出した。高齢者喘息は、重症例が多くCOPDとも類似していることが知られており、YKL40がTNFαを介して加齢を軸とした気道疾患の難治化に関与する可能性が示唆される。総括すると、本年度は気道上皮からの粘液分泌産生亢進、TNFαによる発現亢進、臨床的には加齢を軸とした気道疾患の難治化に関与する可能性などを示し、研究課題の一部を達成したと考える。
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Research Products
(6 results)