2011 Fiscal Year Annual Research Report
急性好酸球性肺炎におけるオステオポンチン上昇の意義
Project/Area Number |
22590866
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
宮崎 英士 大分大学, 医学部, 教授 (00264333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 優 大分大学, 医学部, 講師 (20336267)
濡木 真一 大分大学, 医学部, 助教 (50423702)
石井 稔浩 大分大学, 医学部, 助教 (00528911)
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Keywords | オステオポンチン / 好酸球性肺炎 / 好酸球 / Th1/Th2 / TSLP / バイオマーカー |
Research Abstract |
昨年までの研究から、Th2型炎症を示す急性および慢性好酸球性肺炎において、Th1型炎症の典型であるサルコイドーシスや過敏性肺炎などと比較しても、気管支肺胞洗浄液(BALF)中および血清中のオステオポンチン濃度が有意に高値で、また、オステオポンチンの産生細胞として好酸球が重要であることが明らかとなった。さらに今年度、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性肉芽腫症においてもBALF、血清中のオステオポンチン値は高値であることが判明した。急性期と安定期を比較すると、急性期において有意に高値であったが、BALFあるいは末梢血中好酸球数との有意な正の相関は得られなかった。一方、喀痰中オステオポンチン濃度は測定感度以下であった。次に、アレルギー性炎症のマスタースイッチであるTSLP (thymic stromal lymphopoietin)、TARC (thymus- and activation-regulated chemokine)との関連について検討した。BALF中のTSLPは健常者、サルコイドーシスや過敏性肺炎患者では検出されず(全症例で感度以下)、一方、好酸球性肺疾患では25例中10例に検出可能であった。血清中TSLPも同様に好酸球性肺疾患でのみ検出された。TARCは好酸球性肺疾患の検体で高濃度検出された。好酸球性肺炎において、オステオポンチン濃度はTSLP濃度、TARC濃度と正の相関関係を示した。さらに、健常者、各種疾患患者から得られた肺胞マクロファージからのTSLP、TARC産生を検討した。その結果、オステオポンチン添加により肺胞マクロファージからのTSLP、TARC産生は亢進しなかった。以上の検討から、オステオポンチンは好酸球性炎症に関わる分子であることが明らかになり、臨床的に好酸球炎症のバイオマーカーとなる可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床検体を用いた研究では、ほぼ予定通りの測定が行えており、その他のサイトカインとの関連、病態との関連など、オステオポンチン測定の臨床的意義については概ね明らかになってきている。今後は、基礎的研究を進めて、産生調整などを明らかにする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎的研究を進めるうえで、好酸球性肺炎患者からの好酸球がなかなか入手できないことが問題として挙げられる。すでに治療を開始して紹介された患者ではオステオポンチンをはじめサイトカイン産生が抑制されている。健常者からの好酸球を使用せざるを得ない。 今後、オステオポンチンの臨床的意義を明らかにするため、病態との関連、特に、肺胞上皮障害や血管内皮細胞障害との関連について検討するために、それらのマーカーであるHMGB-1,RAGEやangiopoietinとの関連についても検討したいと考えている。
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Research Products
(15 results)